親は無自覚「子どもハラスメント」の深刻実態

パワハラ、セクハラの構図と酷似している

そして、実は、「相手のため」とか「全体のため・世の中のため」などというのは、すべて自分に都合のよい言い訳にすぎず、本当は自分のためなのです。つまり、自分のストレス解消、自分の欲望の達成、自分の優位性の確保(マウンティング)のためなのです。人々はそのことに気づいたのです。

これはとても良いことだと思います。もちろん、こういった認識が常識として定着するまでには時間がかかるかもしれませんし、完全になくすというのは難しいかも知れません。でも、「あっても仕方のないこと」から「許されないこと」に変わったのは大きな進歩といえると思います。

親による子どもへのハラスメント

しかしながら、私は大いに不思議に思うことがあります。それは、これらのハラスメント以上に、日々あちらこちらでたくさん行われているハラスメントがあるのに、それが未だに「あっても仕方のないこと」という認識にとどまっていることです。それは、ほかでもない、親による子どもへのハラスメントです。

親はよく次のような言葉を子どもにぶつけます。「また歯磨きしてない。ちゃんとやらなきゃダメでしょ! 何度言ったらできるの? 本当にだらしがないんだから。もっとしっかりしなさい」「なんでこんな問題もできないの? さっきやったばかりでしょ。何度教えたらできるの?」「学校からのお便り、ちゃんと出さなきゃダメでしょ。なんで同じことを毎日言われるの?」「そういうだらしがないとこ、誰に似たの? 妹はちゃんとできてるよ。あんた、それでもお兄ちゃんなの?」

こういうひどい言葉が、毎日あちらこちらの家庭で子どもたちに浴びせられています。これらは、完全な人権侵害であり、嫌がらせであり、いじめです。こんな言葉は一切子どものためになりません。それどころか、子どもに深刻な悪影響を与えます。こんな言葉を浴びている子は「自分はダメな子だ」「どうせぼくなんて何をやってもダメだ」と感じて、自己肯定感が持てなくなります。

すると、チャレンジ精神や向上心も持てなくなり、頑張るエネルギーもなくなってしまいます。親に対する愛情不足感も出てきて、「自分は親に大切にされていない。私なんかいないほうがいいんだ」と自己否定感ばかりが強くなります。親が信じられなくなることで、ひいては他者一般が信じられないという人間不信の状態にまでいたる可能性も高まります。

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