現代人は「孤独は悪い」と勘違いしている クリエイティブな人は1人を恐れない

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ある程度の孤独は欠かせない(写真:kitzcorner / iStock)
2014年3月、「ハフィントンポスト」のシニアライター、キャロリン・グレゴワールが書いた1つの記事が爆発的ヒットとなった。そのタイトルは「創造性の高い人がやっている18のこと」。クリエイティブ思考の人々の習慣を探ったこの記事は瞬く間にシェアされ、フェイスブックの「いいね!」は50万にものぼった。
このことは、効率化や生産性向上ばかりが議論される時代において、創造性の重要性を改めて認識させる契機となったと言える。この記事の元となった研究を行っているペンシルベニア大学の心理学者、スコット・バリー・カウフマンとグレゴワールの新著『FUTURE INTELLIGENCE これからの時代に求められる「クリエイティブ思考」が身につく10の習慣』から、実際にクリエイティブ思考を持っている人たちの習慣をいくつか紹介しよう。

作家の生活は孤独だ

新しいものを創造するという行為は、しばしば孤独な内省の中で行われる。肖像画に描かれる芸術家はたいてい1人きりの姿であり、また「隠遁作家」や「孤高の芸術家」といった表現は、真実から生まれている。つまり、傑出した作品を生み出すには、自分の心と親密になれる孤独な場所が必要なのだ。

イギリスの作家、ゼイディー・スミスは、孤独は作家にとって必要不可欠なものとして挙げ、「派閥、群れ、グループを避けなさい」と英「ガーディアン」紙に書いた。サマセット・モームは、作家の生活は「孤独だ」と言った。フェデリコ・フェリーニは、作家の暮らしはあまりに寂しいので映画監督になった、と述べている。

確かに文豪と聞いて思い浮かぶのは、ボサボサ頭の人物が暗い部屋に1人、机に覆いかぶさるようにしていて、床にはくしゃくしゃに丸められた原稿が散乱している、といった情景だ。

本を書くことは、とりわけ孤独な作業になりがちで、作家は自分の想像力や記憶に深くもぐりこまなければならず、少なくとも書き始めの段階では、共同作業の余地はほとんどない。

引きこもったことで最もよく知られている作家は、マルセル・プルーストだろう。プルーストは1910年、傑作『失われた時を求めて』を執筆している間、ドアを閉め切って暮らしていた。

彼はパリのオスマン通りのアパルトマンで、日中はひたすら寝て、夜中ずっと執筆するという生活を送った。イギリスの歴史家ジョン・キアは、そのようなプルーストの環境は、卓越した作品を書くことを可能にしただけでなく、作品の内容にも影響した、と論じている。

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