現代人は「孤独は悪い」と勘違いしている クリエイティブな人は1人を恐れない
作家の生活は孤独だ
新しいものを創造するという行為は、しばしば孤独な内省の中で行われる。肖像画に描かれる芸術家はたいてい1人きりの姿であり、また「隠遁作家」や「孤高の芸術家」といった表現は、真実から生まれている。つまり、傑出した作品を生み出すには、自分の心と親密になれる孤独な場所が必要なのだ。
イギリスの作家、ゼイディー・スミスは、孤独は作家にとって必要不可欠なものとして挙げ、「派閥、群れ、グループを避けなさい」と英「ガーディアン」紙に書いた。サマセット・モームは、作家の生活は「孤独だ」と言った。フェデリコ・フェリーニは、作家の暮らしはあまりに寂しいので映画監督になった、と述べている。
確かに文豪と聞いて思い浮かぶのは、ボサボサ頭の人物が暗い部屋に1人、机に覆いかぶさるようにしていて、床にはくしゃくしゃに丸められた原稿が散乱している、といった情景だ。
本を書くことは、とりわけ孤独な作業になりがちで、作家は自分の想像力や記憶に深くもぐりこまなければならず、少なくとも書き始めの段階では、共同作業の余地はほとんどない。
引きこもったことで最もよく知られている作家は、マルセル・プルーストだろう。プルーストは1910年、傑作『失われた時を求めて』を執筆している間、ドアを閉め切って暮らしていた。
彼はパリのオスマン通りのアパルトマンで、日中はひたすら寝て、夜中ずっと執筆するという生活を送った。イギリスの歴史家ジョン・キアは、そのようなプルーストの環境は、卓越した作品を書くことを可能にしただけでなく、作品の内容にも影響した、と論じている。
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