不安に強い人は「孤独」を飼い慣らしている 「孤独」と「寂しい」はまったく別のことだ
ここ10年ほどで急速に浸透したものの1つにSNSがあります。消費者庁は2016年、同年末には国内におけるSNSの利用者数が6872万人に達する見込みと発表しました。
なぜここまでSNSは社会に受け入れられたのでしょうか。根本にあるのは、人とつながっていたい、仲間が欲しい、という欲求と言ってもいいでしょう。いまある交友関係の結びつきを強めたい、新たなつながりをつくりたい……そんな心理が働いているはずです。
言い換えるなら、自分は1人ではない、孤独ではない、と確認できるツールとしてSNSが利用されている側面があるでしょう。多くの人にとって、孤独になることは恐怖なのです。
しかし、孤独になると、人は本当につらいのでしょうか。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動によって、「世界が尊敬する日本人100人」に選出された枡野俊明氏(新刊『近すぎず、遠すぎず。』がある)は、孤独になり、人生や自らの使命と真摯に向き合うことが、境遇や状況を好転させる原動力になると言います。
「孤独=寂しい」を疑え
人は集団に属していないと不安に駆られるようです。アメリカの心理学者、アブラハム・マズローが人間の欲求を理論化した「欲求5段階説」でも、食事・睡眠・排泄などの第1階層「生理の欲求」、安全で安定した暮らしを維持する第2階層「安全の欲求」、その上位となる第3階層に、自分が社会に受け入れられているという感覚をもつ「社会的欲求(帰属欲求)」が位置づけられています。グループの一員でいたい、仲間が欲しい、というのは人の“性(さが)”といってもいいでしょう。
旧来、多くの人にとって、社会に受け入れられていると実感できるのは、職場や仕事上の人間関係がうまくいっているときだったり、地域コミュニティでトラブルなく人づきあいをしているケースだったりしたわけですが、現代はそうした旧来型の関係に加えて、SNS上でのつながりを求める人が多くなりました。
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