不安に強い人は「孤独」を飼い慣らしている 「孤独」と「寂しい」はまったく別のことだ

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比較の対象になるのは特定の相手だけではありません。情報過多の現代においては、比較の対象もさまざまとなります。世代の平均年収であったり、流行の必携アイテムであったり、その手の情報に触れるとつい自分と比較してしまうでしょうが、自己の確立のためには、それらは無意味です。情報に振り回されてはいけません。

寝る前の30分間、静かな時間をもつ

『近すぎず、遠すぎず。 他人に振り回されない人付き合いの極意』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

孤独の大切さが理解できても、他者との比較を断ち切るのは容易ではないかもしれません。心の有り様を、意識的に現在とは違う状態にするためには、それなりのトレーニングが必要であるということも、一面では真実です。そこで、本稿の最後に、本来の自己に出会う具体的な方法をご紹介しましょう。

それは、寝る前の30分間、静かな時間をもつことです。本来は、坐禅をして穏やかな心、研ぎ澄まされた心に整えるのがいちばんですが、坐禅の心得がないという人は、自分が本当に心地よいと感じることをして、30分間、静かに過ごしてみてください。静かな曲調の音楽を聴くのもいいですし、心を落ち着けてくれるアロマを焚くのもいいでしょう。

経過していく時間に、「ああ、なんだか心地よいなあ」と身を任せることが大事です。そんな時間は坐禅にも似て、心を整えてくれることでしょう。そして、30分間の最後の5分(あるいは10分)を、自分を見つめる時間にあてるのです。その日の仕事や人間関係でストレスを感じていたとしても、静かな時間を過ごすことで、そこから意識は離れます。また、リラックスした状態になることで、集中力が高まっていますから、短い時間でも自分をしっかり見つめることができます。

孤独と寂しさは違うことを知り、自分をしっかり見つめることを日課にすれば、ほどなくして人間関係の悩みとは無縁の、強い自分になっていることでしょう。

枡野 俊明 「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶

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ますの しゅんみょう / Shunmyo Masuno

1953年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣(当時)新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年、『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。主な作品はカナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル庭園「閑坐庭」、ベルリン日本庭園「融水苑」など多数。曹洞宗徳雄山建功寺住職、多摩美術大学環境デザイン学科教授。著書に『心配事の9割は起こらない』『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』(以上、三笠書房)など。

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