今回は、精神障害を抱えながら自立できる道を模索している、歌島碧音さん(44歳)を取材した。
歌島さんとは、小さな店が立ち並ぶ、昔懐かしい商店街の中にあるファミレスで待ち合わせた。しばらくして、入口の来客を知らせる音が鳴り、扉を見るとコートがずぶ濡れの女性が立っている。あいにくの雨だったがレインコートを羽織らずに自転車で来たらしい。「ビショビショになっちゃいました」と苦笑いしながら濡れたコートをイスにかけて乾かす。明るい物言いが印象的だ。
夫の束縛が強く、結婚生活自体が大きなストレス
夫とは、同じ会社の異なる部署で同僚の紹介で知り合った。社内イベントで意気投合し、付き合ってから3カ月、23歳で結婚に至った。24歳で長女を出産。順調に見えた結婚生活だったが、歌島さんの中では不満が大きくなっていく。
「結婚をしたら彼が家族ぐるみで入会している新興宗教は抜けてくれる約束でした。でも一向に辞める気配がない。土日のたびに、集会の勧誘の電話が鳴りました」
2人目の子を妊娠して間もない頃には、夫の留守中に「初節句のお祝い」と称し、3人の義姉家族らが一同に押しかけてきた。実際は宗教の協力の依頼だった。大きなストレスを抱えた歌島さんは次の日に流産している。
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