通常は満額がもらえるはず遺族厚生年金だが、後妻に子どもがいたため折半となったのだ。
元夫の後妻はすぐに新しい男性と結婚し、向こうは経済的には1つも困っていなかった。
「それに比べ、うちは毎日ギリギリの生活。それでも遺族厚生年金は折半なのか……と歯がゆく思いました」
「さらに、遺族厚生年金は子どもが18歳までなので、うちの娘分が切られると、折半だった金額が全額、後妻の子どもに入るようになるんです。不公平ですよね」
生活保護の実際と見逃されがちな母子の優遇制度
現在、歌島さんは奨学金で夜間専門学校に通う19歳の娘と2人暮らし。身を寄せていた母親の他界後、生活保護を受けながら、日々を暮らす。
生活保護になってからの生活は、実際のところ、なかなか厳しいものだ。
歌島さんの明細を一部だけ見せてもらった。最近の月で言えば、生活保護費(保護の種類および補助額)が一定の決まった計算で18万7000円と出ている。しかし、その月は日雇いバイトができたのと、娘のバイト代が出たので、合わせた金額が「収入充当額(※)」として、そこから一定額引かれている。さらに、住宅扶助としての6万4000円が毎月引かれるので、実際の生活費は14万6000円だ。
(※収入充当額の計算は、平均月額収入-(必要経費の実費+各種控除)=収入充当額 となる。『厚生労働白書 平成22年度資料』より)
「働いても半分以上は『収入充当額』として『保護の種類および補助額』から差し引きされるので、大して生活費は増やせません。服を買うときは古着屋かセールで。いちばん大変なのは、女性が毎月必要となるナプキン代です」
「生活保護に一度入ると働いても(差し引かれる分が大きいため)なかなか自立のための貯金ができない。思った以上に(生活保護は)抜け出しにくい仕組み。困惑しましたね」
それでも、どうにかおカネを残したいときは、食費を切りつめた。定番は、具沢山の味噌汁とご飯のみのメニュー。
「娘がいるので、栄養バランスは考えます。複数の野菜と鶏の胸肉を入れたスープとか。胸肉は安いし、ボリュームも出るし、ビタミンやカリウムも豊富でいいんです」
その他、キャベツなどの野菜の芯を使い、ちょっと果物を足して、スムージーなどもよく作る。ちょっと工夫して、シャーベットにすることもあった。
また歌島さんは「母子の受けられる制度は自分で調べないと損する」とも話す。
「私は徹底的に調べて、娘の専門学校に相談に行き、どうにか『母子父子寡婦福祉資金貸付金制度(※)』を適用してもらいました。でも実際のところ、専門学校の職員でもこの制度を知らない人がいて。最初、『うちでは使えません』と言われたんです。こちらが怯んでいたら、適用されず、娘は専門学校には通えなかったでしょう」
(※母子父子寡婦福祉資金は、配偶者のない女子又は配偶者のない男子であって現に児童を扶養しているもの等に対し、その経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、あわせてその扶養している児童の福祉を増進することを目的とする。厚生労働省より)
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