「ひとり親支援」にカネをかけている自治体50 大阪市や名古屋市は年1億円超の予算を投下

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経済的に苦しんでいる世帯も少なくない(写真:Fast&Slow / PIXTA)

結婚して子どもをつくった夫婦が離婚あるいは死別をきっかけに、親権を得た父親か母親が1人で子どもを育てる。あるいは女性が未婚のままで妊娠・出産してシングルマザーとして生きていく――。こうした「ひとり親家庭」が増えている。

厚生労働省が2015年に発表した「ひとり親家庭等の現状について」によれば、2011年度時点の母子世帯数は約124万世帯、父子世帯は約22万世帯と過去25年間で母子家庭は1.5倍、父子家庭は1.3倍に増えた。

ひとり親世帯の年収は平均よりも低い

働きながら子どもを育てるという制約の下、ひとり親家庭は金銭的に苦しんでいる世帯が少なくない。同じ厚労省の調査によれば母子世帯の平均年収は181万円(正規270万円、非正規125万円)、父子世帯は360万円(正規426万円、非正規175万円)。男性507万円、女性269万円の平均年収よりも相対的に低い。特に母子世帯の母親は収入が低く、身分も不安定な非正規雇用の割合が高い。

そんな「ひとり親」に公的な支援はどれぐらいあるのだろうか。東洋経済オンラインは東証マザーズ上場の「うるる」の協力を得て、2016年度(2016年4月~2017年3月)に「ひとり親」に関連する公共事業におカネをかけている上位50自治体ランキングを独自に作成した。

うるるは、国・官公庁や地方公共団体、外郭団体など全国7000超の公共事業を発注する機関の入札情報・落札結果について、クラウドソーシングを使って収集・公開している。その「入札情報速報サービスNJSS(エヌジェス)」で案件名に「ひとり親」「母子家庭」「父子家庭」「寡婦」「寡夫」「シングルマザー」「シングルファザー」を含む案件を抽出した。

1億5714万円で1位にランクインした大阪市は、貧困対策に力をいれている自治体だ。一方、ひとり親支援に年間1億円以上の予算を投下した自治体は大阪市と名古屋市のみ、同1000万円以上でも18自治体に限られ、ひとり親に対する公的な支援は全国的にまだまだ大きな予算を割かれているとは言えない。

うるるの小林伸輔取締役広報室長は、1194万円で15位にランクインした札幌市について「『札幌市ひとり親家庭就業機会創出事業運営業務』のように、ひとり親の自立支援が今後増えていくのではないか」と話している。

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