元夫が若い女に走った44歳「1児の母」の苦闘 元夫の自殺、自身の精神障害を乗り越えて

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また、夫の束縛がひどく、「男友達は全部切れ」「外に出るな、出歩くな」と言ってきた。信頼されていないことも悲しかったが、もともと男友達が多く、活動的だった歌島さんは結婚生活自体がストレスとなっていった。

「要求ばかりするくせに、自分に言ったことはいっさい守らない。外面は愛妻家として通っていましたが、ただ妄想で人を縛り付けるだけの人。私もだんだん優しくできなくなっていきました」

10代の女性と家を出て行った夫と、統合失調症の発病

27歳のときにパートに出ることが許された。気分転換のように仕事を楽しむ歌島さんをよそに、その頃から夫はタトゥーを入れたり、香水をつけたりし始める。今までにないような色気づいた行動が多くなった。

それから間もなく、歌島さんが仕事で夫に子どもを預けると、決まって知らない女性と3人で出かけていることが発覚する。

「当時子どもは5歳でしたから、一部始終を私に教えてくれるんですよね。『今日もお姉さんとお出かけしてきたの』とか」

さらに夫は深夜2~3時にメール交換することが多くなった。完全に浮気だと確信していた歌島さんは「メールを見せてよ」と言うと、夫は逆に「てめえは家のことが適当なクセに、ふざけんなよ」と内容をすり替え、声も荒らげた。娘が「ママをいじめないで」と2人の間に割って入ることもあったという。

ある日、夫は離婚届だけを持ってくると、何の話し合いもなく、家を出ていった。

「夫は10代の女性と不倫していて、私と子どもを捨てて出て行きました。親権などの大切な話をいっさいせずに帰ってこない日々が続いたので、私はパニック状態になってしまって。娘の世話ができなくなり、身内に連絡をしたら、兄と姉が病院に連れていってくれて。『統合失調症』と診断されました」

統合失調症とは、幻覚・幻聴を伴う精神障害のこと。日本では2002年まで「精神分裂病」と呼ばれていた病気だ。実際、幻覚幻聴にひどく悩まされていた時期があった。

「だれかが私をずっと監視していて、脅すような大声や叫び声などの幻聴がありました。物音がしたら、確認しに行かないと気が済まない。ひどいときはイヤホンに大音量の音楽を流し、マスクに黒いサングラスをしないと、怖くて外に出られなかったです」

そんな中、夫は自ら離婚調停を立ててきた。

「早く離婚を成立させないと若い女性に逃げられると思って、焦っていたんでしょうね」

歌島さんは身勝手な夫のことを見限り、離婚が成立。そして「子どものために、早く社会復帰しないと」とスイッチが入ったという。生活するために、病気を隠し、薬漬けになりながらも正社員のOLとして働き始める。

「統合失調症のことは、会社では隠していました。たぶん、精神障害のあるシングルマザーは病状を明かさずに働いている人が多いんじゃないかな。言ったところで理解はしてもらえないので」

ただ、薬の副作用で頭がボーッとし、アクティブに動けないことがよくあった。当然やる気がないとみなされ、社員のいじめの対象となっていった。

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