最初の調停から1年もしないうちに、今度は夫から養育費減額の調停を立てられることになる。
「相手の女性は未成年で母子家庭だったことから、慰謝料は取れなさそうだと、知人の弁護士から聞きました。夫には慰謝料を貰わない代わりに、養育費をきちんと支払ってもらうことで合意していました。しかし、すぐに養育費減額の調停を立てられた。最初から計画していたのだと思います」
養育費の調停は1年半ほどかかっていた。病気と闘いながら正社員として働いている歌島さんにとって、それは大きな負担だった。
そんなとき、地元の友人から、歌島さんの中学からの大親友が自殺したことを告げられる。ウツっぽかったのは知っていたが、しかし、まさか……。
大きなショックを受けた歌島さんは、原因不明の麻痺で全身が硬直。家事もままならなくなった。
「身体が右曲がりに硬直して、まったく動きませんでした。舌もしびれてしまったので、言葉も発せられない状態で……」
兄に付き添ってもらい、精神科の主治医に見てもらうも、意識が朦朧としていて病名はハッキリ覚えていない。仕事も当然退職に追い込まれた。生活するのが困難になり、母親のところに身を寄せるしか方法がなくなった。
元夫の自殺で養育費がなくなり、遺族年金は折半に
この3年後、元夫が突然自殺した。
「元夫は、いつの間にか後妻とも離婚していました。養育費減額の調停はその離婚があったため立ち消えて。その後、新しい女性とかかわっていたみたい。そこでもさらに男女のもめごとがあったようでした。詳しくはわからないですね」
自殺の一報が耳に飛び込んできたとき、歌島さんの子どもはまだ小学4年生。しかし養育費は消滅、シングルマザーにとって命綱とも言える、月4万円ほどの母子手当(正式名称は「児童扶養手当」)もなくなった。
法律では、「(夫の死亡で)遺族年金が1円でも出ると、母子手当は停止」となる決まりがある。また、遺族年金(※)も「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類あるが、歌島さんが支給できるのは「遺族厚生年金」のみ。結果、歌島さんがもらえることになったのは2カ月に1回の支給で、ひと月あたりたったの2万2000円。
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