日本人拉致問題、「根本解決」への希望と不安

日本政府が主体的に解決に当たるべきだが…

北朝鮮は拉致のようなことは行っていないと長らく説明してきた。訪朝した日本人などにそのように言い続けてきたのだ。

2002年9月、小泉純一郎首相が訪朝し、事情が一変した。金正日国防委員長(当時)は、それまで否定していた日本人の拉致を初めて認め、謝罪し、再発の防止を約束した。そして北朝鮮側は、13名のうち5名が生存し、8名はすでに死亡したと説明した。

この5名(地村保志・富貴惠夫妻、蓮池薫・祐木子夫妻、曽我ひとみ各氏)については、小泉首相訪朝の約1カ月後に帰国が実現した。さらに、これら5名の家族は2004年5月及び7月に帰国・来日が実現した。

北朝鮮が拉致の事実を公式に認めたことは、それまで半信半疑であった日本人に強烈な衝撃を与えた。小泉首相は金正日国防委員長に強く抗議し、調査の実行・継続、安否の確認、再発防止、下手人の処罰を要求した。

事実関係の究明

日本政府は小泉首相訪朝直後事実調査チームを派遣し、北朝鮮側と協議を開始した。それ以来、日朝両政府は事務レベルで協議を重ねた。

北朝鮮側は、8名の死亡経緯として一定程度の説明を行ったが、日本側としてはその説明は極めて不十分なものであった。特に日本側が問題視したのは次の諸点であった。

「8名の『死因』には不自然死が極端に多いことに加え、これを裏付ける客観的な証拠がまったく提示されていない。被害者の遺骸が一切存在しない。死亡を証明する真正な書類が存在しない」

これに対する北朝鮮側の説明は、内容的に一貫性を欠き、不自然かつ曖昧な点が多く、また、日本側の捜査により判明している事実や帰国した被害者の証言との矛盾が多く、説明全体の信憑性は疑わしいものであった。

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