米朝首脳会談にシンガポールが選ばれた必然

トランプ大統領は板門店を熱望したが…

5月10日、北朝鮮に解放された3人の米国人を出迎えるためにワシントン近郊のアンドルーズ空軍基地を訪問したトランプ米大統領(写真:REUTERS/Jim Bourg)

5月10日、史上初の米朝首脳会談の場所と日時が遂に決まった。トランプ米大統領自身が6月12日、シンガポールで開くとツイッターを通じて明らかにしたのだ。

米朝首脳会談は、北朝鮮の核放棄、朝鮮戦争の終戦宣言など、今後の東アジアの安保体制にも大きな影響を与える重大な転換点となりそうだ。その世紀の会談場所に、人口約560万人のアジアの小国家、シンガポールが選ばれたのはなぜなのだろうか。

「勝つと思って交渉するから勝てる」

「私は交渉の達人と呼ばれている。勝つと思って交渉するから勝てるのだ」。トランプ氏は著書『トランプ最強の人生戦略』(きこ書房)の中で、自分の交渉力をこんな風に自慢している。

この自信は、実は綿密な調査に裏打ちされている。同じ本の中に、本人のこんな言葉がある。「私は取引に関係しそうなことを全て細かく調査することから始める」。だから「決断が早く、好機をつかめる」というのだ。

6月12日の首脳会談についても、入念な事前調査と検討を行ったはずだ。トランプ氏は、リアリティーショー(素人の出演者がぶっつけ本番で展開する状況をそのまま放送する番組)さながらに会談の場所、時間についてあやふやな予告を繰り返した。そのためメディアは、モンゴル、スイス、平壌などさまざまな開催場所を報道せざるをえなかった。これも世界の注目を集めるための、トランプ流の交渉技術だ。

まず「5カ所考えている」(4月17日)と明らかにした。この5カ所は、はスイス(ジュネーブ)、スウェーデン(ストックホルム)、シンガポール、モンゴル(ウランバートル)、グアムだったと伝えられる。その後、「2つの国まで減らした」(4月27日)と思わせぶりなツイートをした。

次ページ板門店での開催も検討した
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • ブックス・レビュー
  • 最新の週刊東洋経済
  • トクを積む習慣
トレンドライブラリーAD
人気の動画
商社大転換 最新序列と激変するビジネス
商社大転換 最新序列と激変するビジネス
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
銀行員の出世コースに見られ始めた大きな変化
銀行員の出世コースに見られ始めた大きな変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
日本企業は米中の板挟み<br>全解明 経済安保

先端技術をめぐる米中の争いは日本に大きな影響をもたらします。海外からの投資は経済を活性化させる一方、自国の重要技術やデータが流出し安保上のリスクになる可能性も。分断の時代に日本企業が取るべき進路を探ります。

東洋経済education×ICT