米朝首脳会談にシンガポールが選ばれた必然 トランプ大統領は板門店を熱望したが…

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シンガポールの犯罪件数は年間3.2万件程度(2017年、シンガポール警察調べ)。5人以上の集会は取り締りの対象になっており、その息苦しさから「ソフトな北朝鮮」と陰口を叩かれることもあるほどだが、治安の良さは世界でも指折り。テロも起きていない。世界の注目が集まる会談場所としてはうってつけといえるだろう。

北朝鮮にとって都合がいいのはシンガポールが北朝鮮と外交関係を持っており、大使館があることだ。北朝鮮の経済官僚が、民間団体の招待を受けて、シンガポールで研修もしており、親しみのある国でもある。世界と北朝鮮との貿易の中継点ともなっており、北朝鮮人が数多く居住している。

金正恩・朝鮮労働党委員長の実兄、金正哲氏は2011年シンガポールでポップ歌手エリック・クラプトンの公演を観覧し、その様子が報道された。正恩氏の叔母である金敬姫氏は、2012年シンガポールで持病を治療したと伝えらている。

昨年2月に暗殺された金正恩委員長の義理の兄、正男氏も数年前、シンガポールの中心地のマンションに居住していたことが確認されている。

メディア関係者の宿泊もしやすい

もちろん米国の大使館もあり、会談の準備をしやすい。

4月27日に板門店で開かれた南北首脳会談には韓国だけでなく、世界36カ国のメディアの記者ら約3000人がプレスセンターには取材登録した。これは2007年の首脳会談と比べて2倍以上だった。

シンガポール会談は、それ以上のメディアの記者が殺到するだろうが、国際レベルを満たすホテルが多く、十分対応できるだろう。

距離的なメリットもある。平壌からシンガポールは6~7時間、4700キロほどの距離だ。正恩氏は、旧ソ連が開発したイリューシンIL・62Mを改造した「チャメ(大鷹)1号」と呼ばれる専用機を持っている。

4個のエンジンを装着したこの飛行機は、飛行距離は1万キロとされ、平壌から米国西部海岸やヨーロッパまで飛行することが可能だが、古い機種ではあり不安もあるだろう。

シンガポールなら途中で給油せずに余裕で直行できる。正恩氏の専用機の性能も、シンガポールを会談場所にするうえで決定的な理由になったのかもしれない。

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