米朝首脳会談にシンガポールが選ばれた必然 トランプ大統領は板門店を熱望したが…
さらに「多くの国が会談場所として検討されているが、南北朝鮮の境界線にある平和の家がより代表的な場所だ」(4月30日)とツイートし、板門店を意識していることを明らかにした。
これに先立つ4月27日には、板門店で南北首脳会談が行われたばかりだった。南北分断を象徴する板門店が魅力的に見えたのだろう。
同じ30日の記者会見で、記者から「DMZ(南北朝鮮を分ける非武装地帯)で金正恩氏と会うのか?」と問われると、トランプ氏は、「とても興味深い案だ。DMZにある(韓国側の)『平和の家』と『自由の家』の可能性についても話し合っている」と認めている。
一方でトランプ氏はこの会見で、「誰もがわれわれを呼びたがっている。大イベントになるチャンスがある」と語り、開催場所としてシンガポールにも言及した。このころから、板門店とシンガポールを比較し、メリットとデメリットを考え始めたようだ。
米国にも北朝鮮にも偏らない政治的中立性
5月10日、北朝鮮に解放され米国に帰国した韓国系米国人3人を迎えに行った場でトランプ氏は「日と場所を定めた。3日以内に発表する」と語り、それからまもなくして6月12日にシンガポールで会談することを明かした。
シンガポールが、世界が注目する会談場所に選ばれたのは、米国にも北朝鮮にも偏らない政治的中立性と、ホテルが充実するなどインフラ面の充実ぶりで、高い点数を得たためだろう。
シンガポールは、マレー半島の先端に位置する島国で、国民1人あたりの所得はアジアでトップ(日本の1.5倍)という豊かな国だ。
その一方で、国民への管理・監視態勢も徹底している。公共の場所や歩道、マンション、電車内など、人が集まる場所には警察の監視カメラがくまなく配置されており、犯罪の取り締まりに使われている。公共の場所に財布が置きっぱなしにされていても、監視の目が怖くて誰も手を出さないほどだ。
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