中国は北朝鮮に相当厳しい制裁を与えている いつの間に「態度」が変わったのか?
ドナルド・トランプ米大統領は4月18日に行われた日本の安倍晋三首相との共同記者会見で、中国の習近平国家主席を次のように持ち上げた。
「習国家主席は(北朝鮮に)しっかりと圧力をかけてくれている。誰もが想像していたより、はるかに強い圧力だ。私としてはもっと圧力を強めてもらいたいが、それでも、習国家主席は誰も予想しなかったレベルで強い圧力をかけている。北朝鮮に流入する物資は、大きく減った」
予想を超えるほどの厳しい圧力
本稿執筆時点では、トランプ大統領の言っていることはおおむね正しい。もちろん、トランプ大統領が経済制裁の威力を誇示したがるのは当然だ。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が交渉に応じたのは、「最大限の圧力」をかけるというトランプ政権の政策が功を奏したからだと、自らの手柄をしょっちゅう自慢しているからだ。
だが、先日の北京訪問や朝鮮半島でにわかに広がる雪解けムードにもかかわらず、北朝鮮に対する中国の制裁圧力はまったくといっていいほど減っていないようだ。最近、中国が北朝鮮労働者の受け入れを再開したと報じられたが、だからといって、大きな構図が変わるわけではない。北朝鮮の対外的な通商関係は大きな圧力にさらされているのだ。
現在、中国が北朝鮮に対して加えている圧力、とりわけ昨年からの大幅な貿易の縮小は、トランプ大統領が言うように一部の予想をはるかに超えている。
密輸など制裁の網をかいくぐって行われる取引の規模は、ここ1〜2年で大きく拡大した可能性が高い。また、制裁のせいで北朝鮮経済が危機的状況に陥っていることを示す兆候も――仮にそのようなものがあれば、の話だが――ほぼ皆無だ。