中国は北朝鮮に相当厳しい制裁を与えている いつの間に「態度」が変わったのか?
確かに、金正恩委員長の北京訪問が、中国と北朝鮮の国境地帯にある特定の企業に対する部分的な制裁緩和につながった可能性はある。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が4月4日に伝えたところでは、中国から追放されていた約400人の北朝鮮労働者が中国吉林省延辺朝鮮族自治州の和龍市に派遣された。RFAが取材した複数の人物によれば、このタイミングは偶然ではなかった。
RFAが行った報道とは、次のようなものだ。
北朝鮮が出稼ぎ労働者の「売り込み」
年度末の人事考課を受けるため中国から北朝鮮に戻っている出稼ぎ労働者が、中国向け出稼ぎ労働者の採用活動を積極的に繰り広げていると、複数の関係者が語った。
「平壌の商社から何度も電話があった。いつでも労働者を派遣する準備はできているから、派遣先企業を見つけてほしいと頼まれた」。北朝鮮商社と取引関係のある中国人ビジネスマンはこう語った。「こういった電話は以前からあったが、金正恩委員長が中国を訪問してから、もっと増えた」。
北朝鮮情報専門サイトのデイリーNKも同様の報道を行っており、証拠となる動画や現地取材に基づく記事をアップしている。デイリーNKが取材した情報源によると、北朝鮮と中国の双方で、財界を代表する組織に交渉日程を調整するよう指示が飛んだという。中国の制裁が原因となって北朝鮮労働者が中国を離れる流れが起きているが、これを逆転するのが交渉の目的と見られ、北朝鮮労働者が中国に呼び戻されるのは時間の問題かもしれない。
だが、こうしたニュースは、少なくとも現時点で中国の制裁スタンスに変化が出てきていることを裏付けるほどのものではない。
北朝鮮労働者が何百人も中国に戻ってきているのは、北朝鮮からの労働力に依存している国境地帯の会社に対して、中国政府が地域レベルで妥協を行った結果だろう。あまり重要性の高くない鉱物資源の輸入についても、中国は割と柔軟に対応してきた。だが、全体的に見れば、先日NK PROがリポートしたように、北朝鮮からの石炭や鉄鉱石などの輸入禁止措置について中国は現在も厳しいスタンスを維持している。