中国は北朝鮮に相当厳しい制裁を与えている いつの間に「態度」が変わったのか?
とはいえ、制裁の網をくぐり抜けるのは、手間もかかるし、高くつく。北朝鮮は制裁によって輸出が急減しており、獲得できる外貨は大きく減っている。北朝鮮の輸出入業者は極めて高いレベルの密輸スキルを有しているとはいっても、このようにしてあいた外貨獲得の穴をほぼ埋め合わせられるような規模で密輸を繰り広げられるとは、ちょっと考えにくい。
中国が北朝鮮に強い圧力をかけるようになっているというのは、実は大きな変化だ。歴史的に見て、中国は北朝鮮に制裁を加えるのに後ろ向きの態度をとり続けてきた。国際的に何らかの制裁決議が行われるとなれば、幅広い解釈が可能な文言となるよう強く要求するのが、これまでの中国だった。たとえ決議内容の趣旨に沿わない行動をとっていたとしても、決議文書に書かれた制裁には応じていると言い張ることができるようにである。
変化が起きたのは昨年の秋
2016年3月の国連安保理決議2270号が、その典型だろう。北朝鮮が2016年に強行した核実験を受けて採択された制裁決議である。これは国連加盟国に対して石炭や鉄鉱石などの鉱物資源を北朝鮮から輸入することを禁じたものだが、その売り上げが北朝鮮内で「人道上の」目的に使用される場合は例外とされた。
しかし、輸入禁止対象となった石炭などを輸入し続けている中国のような国が、そのような人道目的に使われるはずの売り上げをどのように追跡するのかという点を誰も確認しようとは考えなかった。人道目的に使われるはずの売り上げが北朝鮮の中で具体的にどのように流れていくのか、また、人道目的の売り上げを扱うのが具体的にどの北朝鮮商社になるのか、といったポイントは明確にされなかったのだ。
変化が起きたのは、2017年秋だ。2017年の10〜12月を通じて、北朝鮮と中国の間の貿易高は前年同期比で42%落ち込んだ。「NK PRO(北朝鮮ニュースの有料版)」がすでに報じたとおり、こうした中朝貿易の落ち込みは2018年に入ってからも続いており、中国に対する北朝鮮の輸出額は今年2月、2年前の2016年2月と比べ、なんと95%も急落している。
金正恩委員長が3月の終わりに北京を訪問したのを受けて、中国は近く制裁を緩和するのではないかとの観測もあった。中国は伝統的に、北朝鮮に国際的な関心が集中している間は制裁を強め、国際的な関心が北朝鮮から逸れた途端に制裁を緩めるといった行動を繰り返してきた。
だが、今回は違う。中国の制裁が緩んでいることを示す報道が一部に存在するとはいっても、少なくとも現時点においては、中国は継続して強い圧力をかけている。