日本が北朝鮮問題から外されてしまった理由 日本はもっと独創的にならなければならない
4月中旬、日本の安倍晋三首相はドナルド・トランプ米大統領が外交的な意味でがっちりと自分を抱きしめてくれることを期待しつつ、米国に降り立った。安倍首相は支持率低下に苦しんでいる。トランプ大統領が大きなハグで大歓迎してくれれば、安倍首相は日本の国民に対して象徴的なメッセージを送ることができるはずだった。トランプ大統領とは個人的に親密な関係が築けており、自分はそうした関係を駆使して日本に好ましい結果を持ち帰ることができる——そんなメッセージだ。
だが、貿易という重要争点について安倍首相は、ほとんど何も得ることができなかった。北朝鮮問題についてはもう少し複雑だ。6月上旬までに行われる予定の米朝首脳会談で日本人拉致問題を取り上げることを、トランプ大統領は約束してくれた。だが、安倍首相が希望している北朝鮮の金正恩委員長との直接会談の実現を、トランプ大統領が後押ししてくれるところまでは行かなかった。一部評論家の希望的観測は裏切られた形だ。
北朝鮮問題について安倍首相がなし得ることについて、メディアや国民は非現実的な期待を抱いてはいなかっただろうか。日本が今後、この問題で影響力を持ち続けるには、どうすればいいのか。
日本は短期的に脇へと追いやられる
北朝鮮問題における日本の役割には大きな特徴がある。それは、長期的には日本が朝鮮半島に対して決定的とさえいえるほど重要な存在である反面、短期的にはかなり限定的な影響力しか持ち得ないという、その落差だ。
戦争や北朝鮮の体制崩壊など、朝鮮半島で何らかの有事が起こった場合には、日本の重要性は跳ね上がる。
複数の米軍基地が駐留する日本列島は「不沈空母」であり、米軍にとっては朝鮮半島有事の際に活用することのできる重要な資産だ。日本の米軍施設で働く軍人の数は約5万4000人。さらに、世界各地に展開する米海軍の主要艦隊の中で最大の第7艦隊(70〜80隻の艦船および潜水艦、140機の航空機を擁する)が横須賀の米軍基地を拠点にしている。日本を拠点とするこのような兵力を用いれば、すみやかに半島地域に米国の軍事力を投射し、在韓米軍の戦力を増強することができる。