日本が北朝鮮問題から外されてしまった理由 日本はもっと独創的にならなければならない

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つまり、朝鮮半島の今後に関して、日本の重要性や影響力を引き上げる潜在的な要素はいろいろある。問題は、そうした要素の多くがまだ見ぬ有事を前提としたものであり、事の推移によっては、まるで意味をなさない可能性があることだ。こうした構図から、日本は潜在的には北朝鮮に関して重要な利害関係国でありながら、短期的には一番の脇役へと追いやられてしまうのである。

その理屈はこうだ。日本以外の関係各国は、非核化に焦点を当てた現在の北朝鮮の政策に影響を及ぼすことのできる独自の手段を持っているか、非核化への望みをぶち壊す潜在的な脅威であるかのどちらかだ。後者に当てはまるのが、中国とロシアである。韓国は、分断された民族の片割れであることから、南北関係を前に進める上で他国にはない独特な能力を有しており、引き続き影響力を維持していくことができる。

一方の日本は、壊し屋を演じる能力や意思もなければ(強固な日米同盟の維持は日本の外交政策の基本方針だ)、北朝鮮を自力で動かす手段も有していない。北朝鮮問題に関する日本の外交的立ち位置は、米国の歴代政権によって担保されてきたものにすぎない。米国が日本を評価しているのは、日本に独自の外交的付加価値があるからではない。強固で良好な日米同盟の維持を米国が重視しているからだ。ただ、トランプ政権でもこうした方針が維持されるのかどうかは、よくわからない。

北朝鮮問題における日本の国益とは?

朝鮮半島における日本の長期的な国益は、地域のパワーバランスと関係している。半島情勢が不安定化したり、紛争が起きたりすることを日本は望んでいない。日本の安全が脅かされるからだ。また、韓国と北朝鮮が——それが分断されたままであるか、統一されたものであるかは関係なく——中国やロシアによる侵略を直接、あるいは間接に可能とし、日本を脅かす存在になることも望んでいない。

韓国と北朝鮮の本質を変えるような状況は、それがいかなるものであろうとも、日本にとっては大問題となるのだ。日本が長期的に重要な利害関係国となる潜在力を秘めている点を考えると、日本は根本的な情勢変化の成り行きに影響力を与える手段をいくらかは有しているのといえるかもしれない。

だが、目先に関していえば、日本の利益はきわめて偏ったものであり、実現も難しい。

まず、北朝鮮によるミサイル発射の脅威を和らげることが挙げられる。日本の北部地域では、ミサイル発射を知らせる緊急警報が厳然たる現実になっている。今年1月には東京でも初のミサイル避難訓練が行われた。

日本が北朝鮮のミサイル発射に不安を抱くのは当然だ。だが、米ワシントンで、日本が経験しているこの手のミサイル問題が大きな関心を集めることはないかもしれない。米国政府にとっては、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験のほうがより大きな問題だからだ。マイク・ポンペオ米中央情報局(CIA)前長官は、国務長官就任に向けた上院の公聴会で、「(米朝首脳会談の)目的は米国への脅威に対処することにある」と述べている。

北朝鮮による核やICBM実験の中止宣言を、米国政府は歓迎した。だが、これは米国の同盟関係にくさびを打ち込む分断戦略を予感させるものでもある。中・短距離ミサイルが同盟国に及ぼす脅威に対処することなく、米国が自らの国益だけを優先させる可能性に、北朝鮮はつけ込もうとしているのかもしれない。

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