日本が北朝鮮問題から外されてしまった理由 日本はもっと独創的にならなければならない
とりわけ日本の役割が重要になってくるのが、韓国に住む米国民間人の救出だ。有事によって難民が大量発生する事態となれば、日本を拠点とする軍事力に裏付けられた非戦闘員待避作戦(NEO)は非常に重要な意味を持ってくる。だからこそ、米軍は「フォーカスト・パッセージ」と呼ばれる朝鮮半島有事に備えた大規模退避訓練を毎年、行っているのだ。
加えて、日本には経済力や開発援助での高い知見がある。
南北統一のコストは、最も控えめな推計でも莫大な金額になる。韓国金融委員会は、南北統一が実現した場合、20年間で約5000億ドル(約54兆円)の経済負担が発生すると見積もった。東西ドイツ統一から20年間でかかった費用を考えると、あまりに低い推計で、ばかげているとしか言いようがない(南北統一が、東西ドイツ統一よりはるかに複雑で難しいプロセスになるのは確実だ)。
東西ドイツ統一では、1兆7000億ドル(約185兆円)が旧西ドイツから旧東ドイツへと流出した。南北統一のコストとして最も高い推計はオーストラリア国立大学の北朝鮮研究者、レオニード・ペトロフ氏によるもので、およそ3兆ドル(327兆円)と試算されている。
統一にかかるコストが最終的にいくらになるのかは別にしても、“統一朝鮮”には経済的に豊かな友好国が必要になると考えるのは理にかなっている。日本は世界第3位の経済大国だ。憲法上の制約から軍事大国になることができない日本は、地域の安定化や人道支援、開発援助の最前線で数多くの国際貢献を行ってきた。
日本は人道支援などで相当な経験を積んでいる
たとえば、日本はアフガニスタンに対し、15年間で64億ドルを拠出し、インフラ整備、教育、医療に至るまで、あらゆる支援を行っている。国際開発の分野で相当な経験を積んでいるのが日本だ。
このような経済力と国際援助における経験を備えた日本は、北朝鮮と国際社会との今後の交渉においても重要な脇役を担うことになる。2005年の6カ国協議で採択された共同声明で、北朝鮮が核放棄に応じるのと引き替えに差し出された“ニンジン”を中心となって提供したのが日本だった。経済協力やエネルギー支援、外交正常化といったものだ。
米国は、内政上の制約をいろいろと抱えており、北朝鮮にこうしたニンジンを提供するための予算を議会が承認しない可能性がある。そうした状況を考えると、北朝鮮との取引実現に必要な交換条件を用意してくれないか、との要請が日本に対して再び行われる展開もあり得る。