セクハラ醜聞で露呈する「記者クラブ」の腐臭

違う話のように見えるが実は繋がっている

テレビ朝日の女性記者の例では、セクハラを告発して表ざたにしてしまえば、「当局との良好な関係」を維持できなくなる。だから、告発をしにくい。報道によれば彼女は上司に相談したが、会社としてこのセクハラを告発することはできなかった。

直接の上司は女性記者を守ろうとしてそのように判断した可能性も高い。しかし、記者クラブ制度の中では、結果として自社の記者の人権や取材対象の不法行為よりも「当局との良好な関係」の維持を選んだようにもみえてしまう。

その結果、この女性記者は「週刊新潮」にネタを持ち込んだのである。

専門知識不足による質問能力の欠如

筆者は記者クラブに詰めている記者の「質」についても大きな疑問を感じている。記者クラブに在籍している記者の多くは経験が浅い若い記者だ。会社から取材担当の役所を割り振られて配属されているが、専門知識の有無によって配属が決まるわけではない。防衛省担当であれば軍事や安全保障に詳しくなければ務まらないはずだが、実際にはまったくそうではない。

むろん配属時に知識がなくても、猛勉強すればいい。ところが、数年で配置換えになってしまうため、知識が蓄積されない。当局に対して厳しい質問をできない背景には、馴れ合いがあるだけでなく、専門知識不足による質問能力の欠如もあるのだ。

対してどれほど経験があろうとも、フリーランスのジャーナリストや専門誌の記者は記者会見やレクチャーには出席できない。そもそもそれらの情報は記者クラブの掲示板にしか掲示されないので、いつ何を行うのか、という基本的な情報すら得られない。

手前みそになるが、筆者は軍事ジャーナリストとして四半世紀のキャリアがあり、英国の専門誌で軍事の業界では世界的に権威があるとされている雑誌「Jane’s Defence Weekly」の日本特派員も務め、欧州、中東、アフリカを主として毎年50~60日程度を海外取材に当ててきた。記事や書籍も多く執筆してきたし、海外の専門誌やフィナンシャルタイムスなどの媒体にもコメントしてきた。

そして、守屋武昌次官の収賄事件や陸自のUH-X選定問題などのスキャンダルがあるたびに、多くの新聞、テレビの記者たちにレクチャーを行い、コメントもしてきた。いささか自慢話のようで恐縮だが、少なくとも防衛省の記者クラブ(防衛記者会)に詰めている記者の中に筆者に匹敵する記者をみたことはない。

このため筆者は2017年2月まで香港の軍事雑誌の日本での代表という立場で外務省のパスをとり、FPIJに加盟して4年近く防衛省の記者会見に参加してきた。

筆者はその間に機関銃の不具合やオスプレイなどに関しても具体的な論証を挙げて質問を行い、それは本サイトの過去の記事に反映されている。「なぜ自衛隊は「暴発する機銃」を使うのか」「オスプレイ選定の不透明、対抗馬は商用機?」など多数の記事に、その質疑内容は生かされている。

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