10月26日、茨城県の百里基地には多くの航空機が集結する。自衛隊60周年という節目に行われる航空観閲式の様子は、テレビニュースなどでも盛んに報道されることだろう。なかでも、目玉の1つとして、ティルト・ローター機(可動式のローターを持つ航空機)「オスプレイ」の編隊に注目が集まるはずだ。
このオスプレイには、大きな問題がある。防衛省は、現在の中期防衛力整備計画で、陸上自衛隊用のティルト・ローター機を17機調達するとしており、具体的にどのような機種を購入するかは未定としている。しかし、実態は、はじめから「オスプレイ購入」という結論ありきであり、極めて杜撰な決定方法だ。
防衛省は2014年度の予算でティルト・ローター機の導入に向けた調査として1億円の予算を計上しているが、仮に4月1日に予算を計上したとしてもこれまで、わずか半年程度。どれだけの調査を行ったのだろうか。予算はアリバイ工作と言われても仕方ない。こうした問題点は、オスプレイの拙速導入は、安倍政権による濫費にも書いた通りだ。
ティルト・ローター機の候補はMV-22オスプレイ以外には、存在しない。これが間違いのない事実なのだが、防衛省は複数の候補が存在し、その中から調達するのだと言い続けている。
「AW609も候補である」
この問題について、筆者は防衛省に繰り返し質してきた。10月20日防衛省の報道官定例会見で武田博史報道官は、ついに別候補の存在について言明した。
筆者の「オスプレイ以外の候補とは何か」との質問に対し、「陸自の運用を鑑みた上で、アグスタウェストランド社のティルト・ローター機、AW609も候補である」と述べたのである。ただし、これまで防衛省の入札に応札してきたのは米国防省のオスプレイだけであり、年末までに機種を決定するとも述べた。
10月24日の防衛大臣記者会見において、筆者はこの点を江渡聡徳防衛大臣に質した。その模様は防衛省のサイトにも掲載されている。やや長くなるが、その内容を以下に引用する。
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