オスプレイ選定の不透明、対抗馬は商用機? 防衛省は「複数候補から選んでいる」と強弁

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Q:大臣、その二つを比べると、砂利を運ぶのにダンプカーを買うという感じのところに、軽ワゴンもそれを候補に入れている感じだと思うんです。全くこの違う用途のものを、同じティルト・ローター機だからという話は「二本足だから人間だ。だから二本足のニワトリも人間だ」というような、ちょっと違和感のあるロジックだと思われるんですけど。そもそも軍用のティルト・ローター機というのはオスプレイしか存在しないわけで、なぜその1機種だけを選ぶというふうに初めから言えなかったのでしょうか。
A:あの私は、公平で公正な入札という観点からは、広くオープンあるべきだというふうに思っております。その中において、実際に、確かに軍用機というだけであれば、そのような形かもしれませんけれども、いろいろな観点から、いろいろな使い方は私はあるだろうというふうに思っています。ですから、そういう状況下において、いろいろな種類のティルト・ロ-ター機があるのであれば、様々な観点から検討を進めることは、私は大切ではないのかと思っています。
Q:運用上考えると、例えば航続距離であるとか、ペイロードであるとか、そういうことを想定して、こういうシナリオでもって運用するということが、陸自の方である程度固まっているわけです。それにAW609が入ることはあり得ないと思うんですが。
A:それは、あり得るかあり得ないか。私は、その軍事の専門家でございません。ただ、先程からお話させていただいているように、公平で公正な観点からどのような形で選定していくかということが、一番私は大切だろうと思っております。ですからこそ、そういう意味で、広く各国に対して提案書を出していただきたいと。そして、出てきた提案書をしっかりと評価を行って決定するということが一番正しいやり方ではないのかなと、私は思っております。

 

こちらがオスプレイ(提供:USMC)

つまり大臣はオスプレイもAW609も共にティルト・ローター機の候補だとして、そこに問題はないとしている。

こんな子供だましは諸外国では通用しない。しかも「軍事の専門家ではございません」という逃げは、いかがなものだろうか。確かに大臣は軍人ではないだろうが、大臣は専門家に補佐され決断を下しているはずだ。政治家は「専門家」である官僚や制服組に「騙されない」見識が必要で、官僚や制服組よりも高い見地から物事を判断することが仕事のはずだ。有事ともなれば自衛隊の指揮を執る立場にある。揚げ足取りをするつもりはないが、その人が「軍事は素人ですから」と逃げを打つのは当事者能力の欠除だろう。そもそもこの件に関して、大層な「軍事的知識」は必要ない。

AW609の実用化は2017年

江渡聡徳防衛大臣

オスプレイとAW609は、「可動式ローターが付いている」という点は確かに同じだが、まったく異なる機体だ。AW609 は軍事用ではなく、民間用のビジネス機なのである。

大きさもまったく違う。AW609は機体の規模が3分の1程度。AW609を軍用の戦術輸送機として使用する場合、多くの改造が必要である。本当にAW609 を候補に入れたのであれば、砂利を運ぶためにダンプカーを調達しようという時に、軽のワゴン車も候補に入れるようなものである。

もし、そのような土建屋の社長がいたならば、会社は倒産の憂き目にあってしまうだろう。

そもそもAW609は開発中の機体であり、実用化は2017年と見込まれている。そこから更に軍用型を開発する必要がある。この開発には数年はかかるだろう。また同機は既に注文を抱えており、防衛省が仮に発注してもすぐに製造してくれるわけではない。つまり、まずは開発費を計上する必要があり、防衛省は来年度の予算で発注はできない。防衛省は来年度の予算で量産機を発注する予定であり、その点からもナンセンスだ。

ところが江渡防衛大臣は24日の定例記者会見で筆者の質問に対し、AW609がティルト・ローター機の候補であることに問題は無いと答えたのである。

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