「赤身肉ブーム」から広がる和牛生産の新境地

役割を終えた経産牛が人気を集めているワケ

赤身肉を好む人が増えている理由とは?(写真:keiphoto / PIXTA)

ここ数年、輸入肉だけでなく、和牛の部位の中でも赤身肉を好む人が増えています。霜降りは相変わらずの人気ですが、今ひとつその評価が低かったもも肉をはじめとした赤身肉が、脂質が少なくビタミンが豊富な高タンパク質な部位として注目されています。熟成した場合、赤身肉のほうが味の変化も楽しめるので、今の熟成肉ブームも人気に拍車をかけているかもしれません。こうした中、和牛肉業界にも少し変化が出てきているようです。

和牛は日本固有の「食肉牛」ですが、欧州では乳肉兼用種という考えが一般的で、食肉専用牛にこだわって肥育しているのは世界的にもめずらしいことです。

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その取り組みの斬新さを理解するにはまず、和牛について知る必要があります。和牛は日本固有の「食肉牛」ですが、実は食肉専用の牛がいるのは、世界的にも珍しく、欧州では乳肉兼用種という考えが一般的です。前回(「和牛」価格が超高騰しているせつない事情)でも説明したように、和牛は、肉質の改良を目的に日本独自の基準をもって交配・肥育した牛で、黒毛和種、褐毛和種、無角和種、日本短角種の4種類だけです。

「神戸ビーフ」は但馬牛の純血種

その中でも、9割を占めるのが黒毛和種で、その99.9%が但馬牛のDNAを引き継いだものです。そして、世界的に有名な神戸ビーフが、但馬牛の純血種です。つまり、松阪牛も近江牛も飛騨牛もみんな但馬牛の血を引き継ぎ、地域で改良された牛なのです。

但馬牛の歴史は古く、700年余り前に描かれた『国牛十図』(各地の優れた牛を比べた書画)に「但馬牛は、腰や背ともどもまるまるとし頑健であり、駿牛が多い」と書かれた資料が残っています。その昔は、水田耕作や輸送に利用されていました。小型で丈夫、そして多産で長命の但馬牛は、とても人気があったのです。

明治になり、西洋から牛を食べる文化が渡来。日本に居住していた外国人が但馬牛を食べ、そのおいしさに感動し、日本中に広まったとも言われ、その肉質のよさから食肉牛となっていきました。

さて、神戸ビーフといえば、美しい霜降り!というのが一般的なイメージ。その規定は、肉質は4等級以上で、雌が体重230kg以上〜470kg以下、去勢牛で体重260kg以上〜470kg以下、そして脂肪交雑BMS値6以上。このBMS値というのは、サシの入り具合のことをいい、1〜12まであります。5以上から4等級になります。

ちまたでは、等級表示のほうがよく知られていますが、この等級は、肉質だけでなく歩留まり(生産性のよさ)も表わしています。公益社団法人日本食肉格付協会が決めているもので、枝肉(牛の一頭買い)の買い付けの時に使われるものです。

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