デフ五輪陸上金メダルの三枝浩基が目指す夢 険しい道のりを越えてつかんだ世界一の先

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2017年7月、トルコで行われたデフリンピックの陸上男子4×100mリレーでの三枝選手(写真:©avex challenged athletes)

「小さい頃に運動会の短距離走で1番になると、走るのが好きって感じました」

そう振り返るのは聴覚障がいの陸上競技で活躍する三枝浩基だ。2017年のサムスンデフリンピック(トルコ)では4×100mリレーで金メダルを獲得し、陸上のトラック競技で日本初の快挙となる歴史を創った選手の一人だ。

「デフリンピック」とは、聴覚障害があるアスリートのために4年に1度開催される世界規模のスポーツの祭典である。出場参加資格は、補聴器などを取り外した状態で聴力損失が55デシベルを超える聴覚障害者で、各国のろう者スポーツ協会に登録している者となっている。身体障害者のオリンピック「パラリンピック」に対しデフリンピックは、ろう者のオリンピックとして夏季大会は1924年、冬季大会は1949年から開催されている歴史がある。

陸上との出会いは高校時代

三枝が本格的に陸上を始めたのは高校時代だ。中学校まで通っていたろう学校には陸上部がなく、小学生の時は体操を、中学ではバレーボールをやるなど子どもの頃からスポーツが好きだった。

取材では紙とペンを用意した筆談とパソコンを使ってやりとりした(編集部撮影)

団体競技のバレーボールではチームワークが必要とされ、一人ひとりが力を合わせてチームのために戦わなければならない。あらゆるスポーツに失敗が付きものだが、1人のミスにより試合で敗退することもある。

「自分はミスをしていないのに、ほかの選手のミスによって力が及ばないために負けてしまう。もちろん仲間であるし、責めようだなんて思わない。だが、このままバレーボールを続けるべきなのだろうか?」

三枝は、自分がバレーボールを本当にやりたくてやっているのか疑問に感じていた。

高校に進学すると、バレーボールを続けるか、またはほかの部へ転向するべきか迷っていた。その頃に、陸上が大好きな同級生と陸上の話で盛り上がった。「一緒に陸上部に入ろう」と熱烈な勧誘を受けたことをきっかけに、迷いが一気に吹き飛んだ。陸上競技は、個人の力量により結果が出る競技なので、普段から自分でよく考える習慣がついた。そして、本格的なトレーニングを開始し三枝は陸上選手としての道を歩み始めた。

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