「暗闇フィットネス」が日本で成功した3理由 羞恥心を感じさせない空間力がポイント

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朝7時台からは当たり前。忙しい現代女性のニーズにマッチ

どの施設も、レッスンはおよそ45分~60分で完結。立地はほぼ駅近で、レッスンは朝7時台から夜10時台まであり、ネットで予約可能。シャワールームは清潔で数も多く、パッと汗を流してパッと着替えるゲストがほとんどという印象。ヨガスタジオにありがちな“村”的なコミュニティや、大手ジムで見かけるシニア層の井戸端会議感はゼロ。

ロッカールームの雰囲気のドライさが、たまらなく魅力的なのだ。それはほぼ誰もが「暇つぶし」ではなく、「仕事のパフォーマンスを上げたい」「ウェルネスを向上したい」「引き締まった身体を手にいれたい」といった、明確な目的をもって集合しているからなのではないかと思う。

7時台のレッスンは、”朝活“族でにぎわう。寝ぼけ眼にノーメイクで入店した女性たちが、1時間半後にはレッスンを終えてシャワーを浴び、バッチリメイクにぴしっとしたスーツで出社する姿がどの店舗でも見られる。

シリコンバレー式にもあるように、エグゼクティブは朝ワークアウトが常識。ここで体を動かして、身体も脳もシャキッと覚醒させれば、デスクについた瞬間から仕事のパフォーマンスもいきなり大馬力。オフからオンへと切り替える、チューニングスポットとしても最適なのだ。

わずか5年で成功した理由

暗闇ファントレーニングは、超速の出店スピードで続々とファンを増やしていったのも特徴だろう。これはかつて“駅前ヨガ”が「ヨガマットさえ敷けるスペースがあればOK」というハードルの低さで出店ラッシュを実現し、ヨガブームをあっという間に広めたのと似ている。

ファントレもまた、自転車やトランポリンを並べるスタジオスペースとシャワールームがあれば出店できる、“専門性の高い”スタジオ。ビルのワンフロアで十分なのだ。大規模な施設が必要となる、マシン系ジムとは大きく異なる点だろう。

そして興味深いのが、SNSにより火が付いたことだ。

「いわゆるアーリーアダプター層が、スタイリッシュなワークアウト施設としていち早く『FEELCYCLE』を取り入れてくれ、インストラクターとのツーショットやウェアの写真などをSNSにあげたことで、広いコミュニティに拡散されていきました。こちらで何かを仕掛けたというわけではないのですが、20、30代女性を中心に幅広い世代がエクササイズを通じてつながっています。これは『FEELCYCLE』独特のカルチャーですね」(下渡さん)

TEXT BY NAHO SASAKI

「HILLS LIFE DAILY」編集部

六本木ヒルズ開業の翌年に創刊された、都心エリアのためのライフスタイルメディア。都市生活者に向け新たな情報やトレンドを伝え、アイデアやビジョンを広く提案しつつ、東京という街のクリエイティブな可能性を高めてゆくことを目的としている。

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