発達障害の僕たちが人にあまり言えない本音 当事者3人が座談会で明かした「生きづらさ」

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――空気を読むという文化のない海外の方が生きやすかった?

光武:と思ったら、海外でもダメなものはダメだった(笑)。絶望して帰国しました。今思うと、国の選択ミスだったのかも。イギリスに行ったのでアメリカだったらよかったのかもしれません。

吉田:国によってもいろいろですからね。

勉強さえできればいい学生時代は、ある意味で楽

――光武さんは現在、昼はフリーの予備校講師で夜、バーに立ってらっしゃいますが、それまではどこかに所属して仕事をされていたんですか?

光武:大学4年のときに普通に就活をして一応外資の企業に受かったのですが、働くということが想像できなくて、そのまま引きこもってしまいました。でも、「これじゃダメだ、どうしよう」と思っていたとき、塾講師として当時バイトをしていた先のエリアマネージャークラスの人から「君ならプロでやれるんじゃないか」と言われて。全国展開している塾だったので、大学4年のときにその会社の授業コンテストに出たら東京都で1位を取れたんです。

吉田:すごい!

光武:でも、東京都で1位を取ったのに全国大会に遅刻したんだよな(笑)。

吉田:ギャグですね(笑)。

光武:本当に運で生きています。今は、いろんな予備校と契約を結んでフリーの講師として働いています。

――山村さんは子どもの頃、学校になじめましたか?

山村:自分は幸いにも学校大好き人間、勉強大好き人間だったんです。授業に出ることが大好き。学校を休むのが嫌でした。ただ、変わった人扱いは受けていたと思います。ありがたいことに親から受け継いだ身体能力も高く、小学校の体力テストでは6年間A判定でした。マイナスの面よりプラスの面が目立っていたのは強いと思います。

吉田:確かに、それで発達障害のマイナスな特性は打ち消されますよね。

光武:勉強さえできればいいというのは、ある意味すごく楽なんですよね。そうすれば多少変なところがあったとしても勉強ができるという点で認めてもらえるので。だから、社会に出てからのほうがキツいんです。

吉田:社会に出てからのことを考えると、勉強ができれば褒められる学生時代のシステムはヤバいと思います。

光武:勉強さえできればいいって、けっこうしんどいです。

吉田:われわれは勉強しかできないタイプの人間だからね。

山村:自慢ではないですけど、自分は公務員試験を勉強せずに3カ所受けて、3カ所とも一次のペーパー試験は受かっています。

吉田:それは自慢していいですよ!

山村:ただ、二次の面接で落ちました。学校のテストもペーパーだけで点数が取れるところは全部A判定です。

吉田:偏っているんですね。

(後編に続く)

姫野 桂 フリーライター

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ひめの けい / Kei Himeno

1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをしつつヴィジュアル系バンドの追っかけに明け暮れる。現在は週刊誌やWebなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好きすぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。趣味はサウナ。

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