池上彰と林修の冠番組がテレビで増えた意味

これは時代の流れか、テレビマンの都合か

「この春の番組改編が、多くの人々に、テレビの中高年チャンネル化を印象づける決定打になりかねない」。日ごろテレビマンと視聴者の間に立ち、互いの意図や思いをつなぐ仕事をしているからこそ、そんな危惧の念を抱いてしまったのです。

とんねるずから最後の叱咤激励

最後にふれておきたいのは、この春「変わる、フジ 変える、テレビ」のコピーを掲げ、大幅な改編を断行したフジテレビ。なかでも、「とんねるずのみなさんのおかげでした」や「めちゃ×2イケてるッ!」などの長寿番組を終了させたことに対して、局内外から「時代の流れだから仕方ない」という声があがっていました。

しかし、前述した新番組の番組資料を見るかぎり、「お笑いバラエティから教養系・生活情報系に“変える”のか」「低年齢層から中高年層狙いに“変える”のか」としか感じません。「時代の流れに合わせている」というより、「視聴率の傾向に合わせている」。そして、「新たな時代を切り拓こうとしない」ように見えるのです。

くしくも先日、ある番組で共演した脚本家さんが、「今のテレビ局は守備ばかり固めている」と残念そうに語っていました。「これ以上、失点したくない」と守備を固めているのですが、この脚本家さんは「テレビ局は攻撃力があるはずだから攻めるべき」と言いたかったのでしょう。実際、「テレビ局の映像制作力は、ネット系コンテンツよりも数段階高い」と言われているだけに、それが生かされないのはもったいないところです。

余談ですが、私はこの2週間あまり、「とんねるずのみなさんのおかげでした」のフィナーレを飾った名曲『情けねえ』のメロディーが頭から離れません。

その歌詞は、「ちっぽけなしあわせに 魂を売り飛ばし 生き急ぐ 人の群れ」「偽りの微笑に 後悔はないのかい? ツバ吐いて 捨てた夢」「みんな時代のせいだと 言い訳なんかするなよ 人生の傍観者たちを 俺は許さないだろう 情けねえ 自由が泣いている」

すべてのフレーズが、民放各局のテレビマンたちに向けたメッセージのように感じるのです。さらに、とんねるずは、「“この国”を滅ぼすなよ」を「“バラエティ”を滅ぼすなよ」と替え歌にしました。この選曲も替え歌も、愉快犯的なクレーマーに向けたものである以上に、「守備的な戦略しか取れないテレビマンたちへの叱咤激励だった」のではないでしょうか。

もちろん池上彰さんや林修さんの番組や、ご本人に一切の非はありません。しかし、今後も中高年チャンネル化を進めるのか、それとも、ここで踏みとどまり、持ち直せるのか。テレビ業界の今後を占う分水嶺になる気がしてならないのです。

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