池上彰と林修の冠番組がテレビで増えた意味

これは時代の流れか、テレビマンの都合か

30代以下の人から見たら、いずれも「おじさん」や「おじいさん」がMCを務める新番組だけに、メインの視聴者は必然的に、同年代になるでしょう。このような中高年チャンネル化、ひいては、低年齢層の切り捨てを民放各局が自ら進めていることが問題なのです。

しかし、現場のテレビマンたちは、もろ手をあげてその状況を受け入れているわけではありません。

未来を憂う現場のテレビマンたち

テレビマンたちの多くは会社員であり、成績、評価、人事などは、他業界のビジネスパーソンと、ほぼ同じ。会社や上司の批判ととらえられると、日々の仕事に支障をきたすため、実名を出すわけにはいきませんが、匿名を条件に、3人のテレビマンが本音を語ってくれました。

「若い層を狙った番組は、深夜でなければ、まず企画は通りません。ウチの子どもたちも、その友達も、テレビは全然見ないし、スマホばかり見ています。今はテレビ局が若い層を切り捨てているけど、何年かしたらその層にテレビが切り捨てられるんだろうな……と思ってしまいますね」(40代バラエティディレクター)

「教養番組は40代の僕らだって見ませんよ。仕事から帰ってきてまで勉強したいなんて思いませんし、そういうのは専業主婦か、すでに定年退職した人がほとんどだと思います。視聴率だけを追いかけていたらニッチなビジネスになっていくのはわかっているのに、なかなか変わっていかないことがもどかしいです」(40代ドラマプロデューサー)

「どの局も、考えていることも、放送している番組も、ほとんど同じですね。正直、他局への転職も考えたこともありましたが、テレビ局はどこも大差ないので、とりあえずやめました。ネットの動画配信サービスなら、若者向けのバカバカしいお笑い番組が作れそうなので、引かれています。本当は地上波でやりたいのですが、クレームとかコンプライアンス対策もあって難しいので」(30代バラエティディレクター)

バラエティだけでなく、ドラマ、報道のテレビマンたちも、テレビが中高年チャンネル化していくことに危機感を抱いていました。「仕方ないとも思う」けど、「本当にそれでいいのか」という疑問。「何とかしたい」けど、「自分の力ではどうにもならない」というジレンマ。民放各局が保守的なスタンスであることに、不安を抱いているのです。

そもそも私がこのコラムを書いているのは、テレビを愛し、未来を憂うテレビマンたちの声を読者のみなさんと、民放各局の上層部に届けたいから。一部で「現状を打破するために、視聴率以外のマネタイズに動いている」という声を聞きますが、「教養系の番組が増えている」という事実がある以上、説得力はありません。

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