池上彰と林修の冠番組がテレビで増えた意味 これは時代の流れか、テレビマンの都合か
この変化は数年前から少しずつはじまっていました。平日の朝から夕方まで民放各局ともにニュース・ワイドショー系の生放送番組ばかりになり、「ドラマの再放送すらごくわずか」という偏った番組表に。さらにその偏りは、ジワジワと夜の時間帯でも進んでいきました。
「有吉ゼミ」(日本テレビ系、毎週月曜19時~)、「名医のTHE太鼓判!」(TBS系、毎週月曜19時~)、「中居正広の身になる図書館」(テレビ朝日系、毎週月曜20時~)、「この差って何ですか?」(TBS系、毎週火曜19時~)、「教えてもらう前と後」(TBS系、毎週火曜20時~)、「名医とつながる!たけしの家庭の医学」(テレビ朝日系、毎週火曜20時~)、「ソレダメ!~あなたの常識は非常識!?」(テレビ東京系、毎週水曜18時55分~)、「得する人損する人」(日本テレビ系、毎週木曜19時~)、「くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」(テレビ朝日系、毎週木曜19時~)、「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系、毎週木曜19時58分~)と、ワイドショー内のコーナーや女性週刊誌の特集を思わせる生活情報系の番組がズラリ。
つまり、池上彰さんと林修さんの新番組が意図するのは、「生活情報系の番組が飽和状態なので、教養系の番組を増やそう」ということ。しかし、生活情報系の番組も、教養系の番組も、前向きな戦略によって生まれたものではなく、視聴率獲得に向けた苦肉の策なのです。
「視聴率が獲得できず、広告収入が減る」という悪循環を断つために、「リアルタイムでテレビ番組を見る中高年層の好む番組をそろえている」のが、苦しくも厳しい現実。朝から夕方にかけて放送されているニュース・ワイドショー系の番組は、大半が中高年層に向けて作られたものですが、内容の似た教養系・生活情報系の番組を夜にも放送していることが、その裏づけとなっています。
かつて19~22時は、「視聴率が稼げる=広告収入が稼げる」ドル箱という意味で「ゴールデンタイム」と言われていました。しかし、現在の番組表を見るかぎり、テレビそのものが“中高年チャンネル化”している感が否めません。「もはやゴールデンタイムは存在せず、あるのはシルバータイムのみ」と言いたくなってしまうのです。
「おじさん」「おじいさん」MCばかり
テレビの中高年チャンネル化は、池上彰さんと林修さん以外の新番組からも見て取れます。
坂上忍さん(50歳)の「直撃!シンソウ坂上」(フジテレビ系、毎週木曜21時、19日スタート)、「坂上&指原のつぶれない店」(TBS系、毎週日曜20時、22日スタート)。梅沢富美男さん(67歳)の「梅沢富美男のズバッと聞きます!」(フジテレビ系、毎週水曜22時、18日スタート)。
芸人がMCを務める新番組は、東野幸治さん(50歳)の「世界!極タウンに住んでみる」(フジテレビ系、毎週土曜19時57分~、5月5日スタート)、岡村隆史さん(47歳)の「チコちゃんに叱られる」(NHK、毎週金曜19時57分~、13日スタート)、有田哲平さん(47歳)の「有田Pおもてなす」(NHK、毎週土曜22時10分~、スタート済み)の3本のみ。やはりベテランばかりであるうえに、お笑い要素の強いバラエティは「有田Pおもてなす」だけであり、それが民放ではなく、もともと教養番組の多いNHK制作というのが何とも皮肉です。
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