原料高騰で業界危機! 経営統合決めた明治製菓”チョコレート改革”進行中


平均12%の値上げ断行 増益効果はほぼ計画線

導入から3年、MPSがもたらしたコスト削減効果は53億円に上る。仕掛品ゼロ化でキャッシュフローが改善し、直系工場の人件費率は6%から4%へ低減された。「小売りのニーズに応じた小ロット製造や、製造中断への即時対応で、無駄な在庫を抱えなくて済むようになった」(岸田前工場長)。MPS最終年に位置づける今08年度は10億円の削減を目指すが、「ここはまだ通過点。来年から始める『第2次MPS』(3カ年計画)では、不良資産5割減を目標に改善に取り組む」(関利也・生産管理部管理グループ長)という。

今、菓子業界の首を絞め上げているのが、カカオ豆の高騰である。

ロンドン取引所での取引価格は、1トン当たり06年末の850ポンドから、08年9月末には1550ポンドまで上昇。「中国、ロシアなど新興諸国で需要が急速に増加している」(日本チョコレート協会)ためだ。小麦や乳由来原料も高止まり。輸送費や包装資材も原油高の影響を受けている。佐藤社長は「3年間で、原材料高騰の影響は100億円に達する見通し」と懸念する。

今年2月、明治はやむなく値上げに踏み切った。平均12%の値上げで、主力の「ミルクチョコレート・ブラック」は100円から120円へ(量も70グラムから65グラムに削減)。「きのこの山」「たけのこの里」はそれぞれ7グラム減量の実質値上げだ。高級感と口溶けのよさをうたう「フランホイップス」(8月発売)を、通常の「フラン」より50円高い210円とするなど、付加価値製品の価格は最初から高く設定した。計画では37億円の増益効果(08年度)を見込んでおり、現時点では、ミルクチョコレートなど、主力品に関しては目標達成できそうだ。

食品値上げに際し往々にして起こるのが、値上げをのんだ小売り側が、一方で割安なPB(自主開発製品)を拡大し、メーカー側が敗北するケース。概してPBは、リニューアルが少なく、製造設備が“遊んでいる”製品に強い。その点、菓子はリニューアルが頻繁。加えて、チョコレート設備は大手メーカーの寡占状態で、PBを請け負う余地がない。そのため「消費者は値上げを受け入れざるをえない」(坂井研治・新光証券アナリスト)部分がある。

ただし、より中長期的な課題は別にある。消費者の行動の変化だ。

売り上げが鈍ったら新商品で回復させるという“古典的”パターンがもう通用しなくなっているのだ。消費者の嗜好は、目新しさから安心感へ移行。新商品の動向を占う女子高生のトライアル購入も減少している。業界関係者は「1999年のフラン以降、20億円級のヒット商品が出ていない」と口をそろえる。

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