経営不振「ギブソン」はどこまでヤバいのか 経営破綻で失われるものは大きい

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多角化するのか得意分野にこだわるのかは、経営者が選択を迫られる永遠のテーマだ。だが結局のところ、肝心なのはどう実行するかであり、彼のこれまでの多角化への布石はいい結果を出していない。

ジャスキビッツは経営者としての自身の立場が危ないことも認めた。

「正確に言えば、債務の返済期限がくるという意味においては確かに破産の可能性がある」と彼は言った。それでも彼は、借り換えに向けた交渉に期待を寄せている。

一方で、返済にこだわらない債権者もいるという。「彼らは(ギブソンという)会社を保有することのほうに関心があるんだ」とジャスキビッツは言う。

「同じ夢を抱く誰かにバトンを」

ともあれギブソンの運命は、多くの債務が返済期限を迎える8月1日までにははっきりするだろう。

KKRは「(ギブソンの)経営陣と建設的な対話」をしているとのコメントを出した。またギブソンについては「深い絆で結ばれた顧客と従業員、サプライヤーのいるすばらしい企業」だとしている。ブラックストーンからコメントは得られなかった。

ファンにとって、ギブソンの存在は大きい。私自身も若い頃、バージニアビーチのボードウォーク沿いの店でバイトをしながらおカネを貯め、港で荷下ろしをしている海兵隊員からレスポールを買う機会をうかがっていた。

あるとき、自らアコースティックギターを作り、エレキ用の音響効果もキットから作ってしまうような兄を連れ添って港へ行った。寡黙な彼の反応はまゆ毛でわかる。ギブソンのギターケースが開けられたとき、彼のおでこが激しく反応したのがわかった。私たちはその場で手を打った。

ジャスキビッツも65歳。いつまでもギブソンの経営の舵取りが続けられるわけではない。長期的なビジョンが実を結ぶには、いつか「同じ夢を抱く誰かにバトンを渡さなければならないだろう」と彼は言う。

彼はこうも言った。「これには資金調達の選択肢を検討することも関係してくるし、会社とすべての利害関係者、そして私自身にとって何がベストか考えなければならない」。

(執筆:Danny Hakim記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2018 New York Times News Service

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