ヤマハ、「電子ピアノ」20年ぶり大改良の理由 グランドピアノの弾き心地目指し鍵盤を刷新

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ヤマハが6月から発売した電子ピアノ「クラビノーバ CLP600シリーズ」の上級モデルには、20年ぶりに刷新した鍵盤機構が搭載されている(記者撮影)

20年ぶりとなる電子ピアノの大型改良で生まれたのは、ヤマハの”本気”が詰まった新製品だった。

楽器大手のヤマハは、電子ピアノ「クラビノーバ」の上級シリーズにおいて、6月から「グランドタッチ鍵盤」という新たな鍵盤機構を搭載した新製品を順次発売した。価格は28.8万~42万円と高額だ。

グランドピアノやアップライトピアノといった、昔ながらのアコースティックピアノは、鍵盤を押すと、その先にあるハンマーが動いて弦をたたき音が鳴る。弦がない電子ピアノにとっての鍵盤は、電子音源を発するためのスイッチのような役割だ。

鍵盤機構の改良でグランドピアノへ近づけた

今回ヤマハは、20年ぶりに鍵盤機構を大幅に改良し、グランドタッチ鍵盤を作り上げた。目指したのは、電子ピアノを弾いたときの感触をグランドピアノに近づけることだった。

多くのピアノ曲はアコースティックピアノのために作られたもので、特にクラシック音楽ではその傾向が強い。演奏者が思い通りに曲を表現するには、グランドピアノのような音やタッチ感が重要となる。

クラビノーバCLP600シリーズは、一見するとアコースティックのアップライトピアノのよう(記者撮影)

音源に関しては、ヤマハのグランドピアノはもちろん、2008年に買収したオーストリアの高級ピアノ、ベーゼンドルファーの音も採用するなどしてきた。

鍵盤機構は、20年前に開発されたものをベースに、打鍵を感じるセンサーを改良・増設したほか、白鍵に木を埋め込んで見た目も感触もアコースティックに近づけるといった取り組みを続けてきた。

「だが改良をやり尽くし、限界を感じた」。技術開発部の市来俊介主幹は頭を抱えた。そこで鍵盤機構そのものを見直し、一新することにした。そうしないと、物理的な「グランドピアノらしさ」を実現できないと考えたからだ。

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