アマゾンやグーグルから、どうやって税金を徴収するか――。
3月21日、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、IT(情報技術)分野の国際的な巨人企業を主な対象とする、「デジタル課税」の導入を加盟国に提案した。
より具体的には、世界売上高が年間7億5000万ユーロ以上、EU域内の売上高が5000万ユーロ以上の企業に対し、EU域内で利用者が属する国ごとに、売上高の3%を課税する案である。課税対象として、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)など、巨大ネット企業を想定している。
実はこの案は、突然出されたものではない。その布石はあった。
3月19~20日にアルゼンチンで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議に向けて、グローバルに事業展開するネット企業への課税についての議論が急展開していたのである。OECD(経済協力開発機構)も3月16日、ITの巨大企業への課税ルール見直し議論について、中間報告を発表した。
低税率の国に利益を移し”課税逃れ”
ではなぜ今ごろ、そんな話になったのか。さらにさかのぼると、もともと従来型の企業がそれぞれの国で課される法人税を納めているのに対し、国際的な巨大ネット企業は、税率の低い国・地域に利益を移して、”課税逃れ”をしているのではないか、との批判が出ていたからだ。
国際的な課税逃れについては、OECDやG20でも、積極的に対応しようと近年国際協調が進んだ。国際的な課税逃れを「税源浸食と利益移転(BEPS:ベップス)」と定義し、BEPSについての「包摂的枠組」会合をスタート。OECDのBEPSプロジェクトについては、本連載の拙稿「パナマ文書で人為的な課税逃れは防げるか」で詳しく触れたところである。
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