「在宅ワーク」が働き方の新スタンダードだ うるる星知也代表にロングインタビュー
星:そうですね。面白いと思います。たとえば、この間も裁判の傍聴をしてみたのですが……。したことありますか?
朝倉:ええ。法学部でしたので(笑)
星:ああ、そうでしたか(笑)。ならお詳しいと思いますが、非常にアナログな世界で、その日どのような裁判が行われるかは、基本的には裁判所に行かないとわからないわけです。裁判所は全国に多数あるわけですが、裁判を傍聴するのを趣味としている人もいます。あるいは、その情報をニュースにするメディアもあります。こういった情報にはニーズがあります。
また、これを単にデータベース化するだけでは終わりません。我々のリソースを使えば、すべての裁判を在宅ワーカーに傍聴してもらうことが可能です。被疑者名、裁判官名、検事名、次回の公判などについてデータベースにすることができれば何かに使えるかもしれません。
朝倉:裁判版のログミーができそうですね(笑)
星:そうですね(笑)。使い方次第ですけど、会社が採用を行うときに、被疑者名のデータベースを参照すれば、犯罪歴をチェックすることができます。実際に海外ではこういうサービスがあります。
朝倉:そうか……。日本にはそういったサービスがないんですね。そういえば聞いたことがありません。
星:ただ、検討してみたところ、日本にはどうやら「忘れられる権利」というのがあるらしくて、これはちょっと良くないなということになりました(笑)。
このように、「人力」でしか集められない散らばった情報を、一カ所に集めて価値になるといったサービス案は多数あるわけです。今だとロボットで集めるというのが考え方の主流ですが、だからこそ私たちは「人力」でしか集められないものの価値はどんどん上がっていくと考えています。
私たちは、在宅ワーカーがどんなことをできるのか、いくらくらいでできるのか、どれくらい集まるのかなどについて瞬時に計算できます。そのため、アイデアベースの話し合いでも具体的に実現できるのか、いくら予算が必要なのかというのがすぐにわかります。
朝倉:新規事業を考える上で、それは非常に強いですね。
村上:大きく当たりそうなアイデアと、伸びは遅いものの確実に伸びていきそうなアイデアだと、どちらを優先されていますか?
星:両方です。「NJSS」が、今の主力サービスなのですが、これは今のまま成長させても何百億円にはいかないマーケットです。ニッチなところなので、大手が入ってこないというやりやすさもあるのですが。私たちは、10億円規模のCGSを作っていけばいいという考え方を元に事業化していますが、この中に、大きく化けそうなものが出てくれば、一気にアクセルを踏みます。
クラウドソーシングの「シュフティ」もそういう位置づけです。これは現在赤字事業でCGSの土台の役割的な位置付けですが、いつかは収益の柱になると思っています。
発想豊かな野武士、求ム
村上:御社は常に幾つかの新規事業を並行して開発されているということですが、新規事業は管理が難しく、また筋の良い事業を生むのも大変難しいと思います。この2点に対しては、何か工夫をされていますか?
星:管理する観点では、先ほど述べたように複数の新規事業を4つのフェーズに分けて、投資ルールを定めています。が、実際には、けっこう属人的で、誰かが一人で進めていたものが、いきなり第3フェーズに進むといったケースもあります。仕組みは作っていますが、最終的にはそこで作る人の趣味嗜好や経験に依存しているところも多いのです。
また、新規事業をゼロから立ち上げること以外にも、M&Aも視野にいれています。