「在宅ワーク」が働き方の新スタンダードだ うるる星知也代表にロングインタビュー

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村上:年に1つ事業化することが適当で、逆に、それ以上やりすぎると、ワーカーの管理やプロダクトの品質管理などに無理が出ることを想定されているということでしょうか。

:その通りです。弊社の規模感では、年に1つ程度が妥当という判断です。会社の成長とともに事業開発への投資を増やしていき、事業立ち上げの数を増やしていきたいと考えています。

村上:プロダクトを立ち上げる際には、ある程度確度が高いものだけを立ち上げていますか? それとも当たらないことも覚悟で立ち上げているのでしょうか?

:我々は新しいCGSを生み出していくことを成長戦略としていますので、ある程度仕組みを作っています。具体的には新規事業を4つのフェーズに分けています。 第4フェーズが既に事業化したもので、入札サービス「NJSS」などが相当します。

朝倉:薬の治験プロセスのように、プロダクトごとに段階に応じて生き残るかどうかが決まるわけですね。各フェーズについて詳しく伺ってもよろしいですか?

:はい。おおむね投資金額の違いです。第1フェーズでは、1つのプロダクトに対してかけるコストを決めてテストすることにしています。このフェーズでは約10個のプロダクトを動かしています。第2フェーズでは投資額が第1フェーズの数倍に、第3フェーズではさらに数倍になります。第4フェーズは一定の規模の収益に到達するところまで育ったものです。そこからどう事業拡大させるかはそれぞれに異なります。

新規事業コンテストはいらない

村上:成長の要をソフトウェアやプロダクトに頼ってしまうと、プロダクトごとに激しい競争に巻き込まれることもあると思いますが、御社は背景にクラウドワーカーを押さえているという強みがありますね。

(写真:Signifiant)

:その通りです。CGSを伸ばしていく上で、自社でクラウドソーシングサービスを持っていることは最大の強みです。また、BPO事業を運営していることで、在宅ワーカーを活用するノウハウが蓄積されています。具体的には、これまで10年以上かけて2万件以上受託して、国内外のパートナー企業も含みますが在宅ワーカーに再委託を行っています。この経験は非常に大きいと考えています。クラウドソーシングを自社で運営していることと、BPO事業によって得られた経験があることが強みになって、新しいCGSを産むことができると考えています。

村上:それだけの経験に裏打ちされ、ニーズを注視しながら生み出したプロダクトでも、そう簡単に成功させるのは難しいですよね。この成功確率のボトルネックは何だとお考えでしょうか?

:事業化したCGSが少ないのは、高収益のものしか残していないからです。収益が低くてもよいということであれば成り立つプロダクトもあるのですが、高収益のものに注力したいという判断です。

村上:投資回収できるかどうかの判断を厳密に行っているわけですね。

:そうですね。アイデアは次から次へと出てきますから。労働力不足で、在宅ワークのニーズは非常に高いので、「これはできないか? あれはできないか?」という問い合わせが非常に増えているんです。

朝倉:なるほど。御社は多数あるアイデアを、常に実際に新規事業化して磨かれているわけですね。社内で新規事業コンテストをやっている会社はありますが、御社ではコンテストは不要ですね。実際に事業化するプロセスでノウハウが溜まりますから、事業開発に興味を持っている方にとっては面白い職場でしょうね。

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