26歳「SASUKE」制覇の男が怪物と呼ばれる理由 森本裕介を形作った憧れと努力と仲間との絆
フィジカルは第29回から第30回大会までの間に十分なほど上がっていて、技術面、メンタル面もよりクオリティが上がった状態で第31回大会に向かっている。
快挙はすぐそこにあった。
「1stステージをクリアした時点で、かなりチャンスかなと思いました。前回リタイアした2ndステージはかなり対策をしていて、3rdとファイナルステージの精度も半年間でかなり上がっていた。変なミスさえしなければいけるかなという手応えはありました」
実はこんなエピソードがある。収録は2日間にわけて行われるが、ファイナルのある2日目は、当初は完全な雨予報だった。
「これは困ったな…と。ところが朝、起きたらすごく晴れていた。あれ? みたいな。これは今回、行かないといけないんじゃないかって。いろいろなものが味方してくれているぞって」
天は森本に微笑んでいた。そして、ひとつ確かに言えることがあると、森本は強調する。
自分のコンディションだけは万全にしておく
「今回の第35回大会を含めて11回、SASUKEに出ているんですが、1回たりとも準備に手を抜いたことはありません。だから、条件がそろったときに確実に成果を出せたのかなとは思っています。すごく自分は調子がいいのに天気が最悪というときもある。それはしかたがない。でも、ずっと最高の状態を保つ努力をしていれば、せっかく条件が合ったときに体調が悪いせいでとか、準備不足のせいでという可能性は潰せる。
もちろん運もあると思うんですけど、自分のほうのコンディションだけは万全にしておくことで、いつか来る条件が合うときに完全制覇ができる。それはSASUKEに出ている中で学んだことですし、人生においても同じだと思うんです。自分でコントロールできないものは絶対にありますけど、自分のコントロールできる部分はすべてしっかり準備しておくことが成功につながるんだと思います」
完全制覇に向かってファイナルステージの綱を登っていく時間は、あっという間だった。
「無我夢中で登っていって、最後にボタンを押すと『シュ~』と煙の音だけするんです。だから、『あれ、行けたんかな?』みたいな感じで、すごく喜びを爆発させるという感じにはならなかったです。でも、時間が経つごとに徐々に実感が湧いてきました。日に日に嬉しさが増していく感じで、当日よりも、その後の1週間くらい、ずっとニヤニヤしていましたね」
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