26歳「SASUKE」制覇の男が怪物と呼ばれる理由 森本裕介を形作った憧れと努力と仲間との絆
それでもSASUKEを嫌いになったり、やめたいと思ったりすることはなかった。たどり着くことはできていなくても、2nd、3rdステージに新しいエリアができるたびに、自作のセットも増設していった。
ところが、厳しい現実に直面させられる。第23回大会以降、応募しても出場者にすら選ばれなくなったのだ。
「ずっと1stステージで落ちていたので、選ぶ側が厳しいなと思ったんだと思います。それも無理はないんです、僕よりも若い子が出るようになって『最年少』という肩書もなくなったんですから。選手としての価値が落ちていったんだと思います」
トレーニングは続けているものの、大会には出られない。そんな苦境で支えになったのはSASUKE仲間の存在だった。
「高校のころから大会やイベントで会ったりして仲間の輪が広がっていたんです。一緒に合同トレーニングをしたりもした。だいたい関東でやることが多かったのですが、高知から参加しました。ほかにも全国からSASUKEを目指す人が駆けつけてきて、切磋琢磨していました。
当時の仲間には今、活躍している人も多くて、2度完全制覇された漆原裕治さんとか、ファイナリストの又地諒さんとか、菅野仁志さんもいました。そのころは又地さんも漆原さんもSASUKEに出られずに苦しんでいた時期で、一緒になんとか出場権を獲得しようと、みんな、本当に必死でした」
SASUKEは出場者たちの仲間意識が強い
SASUKEという大会を見ていて、いつも感じるのは出場者たちの仲間意識の強さだ。個人競技にもかかわらず、自分がリタイアした後でも仲間たちに惜しみない声援を送り続ける。
森本が言う。
「仲間意識はかなり強いと思います。自分が落ちても残りの仲間の応援をして、できるだけ先に進めるようにサポートもする。普段から一緒に練習をして、完全制覇を目指している仲間なので、クリアしてくれたら嬉しい。番組も盛り上がる。そういう思いはみんな強く持っています。今回の第35回もたくさんアドバイスをもらって、それが役に立ちました」
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