固定か変動かを決められない場合は、固定と変動を組み合わせる返済方法(ミックス返済)を選べる金融機関もある。
4.優遇金利の意味
金利を考えるうえで、もうひとつ外せないのが優遇金利の存在だ。ローンの金利には、まず、市場金利に利益を加えた「基準金利」がある。金融機関によっては「店頭金利」「店頭表示金利」などと呼ぶところもある。
基準金利は「定価」や「希望小売価格」といったものと考えればいい。小売店では定価から割引して販売されるように、住宅ローンの世界にもそれが存在する。割引にあたる存在が、ローンでは「優遇金利」となる。金融機関が優遇金利を適用したい相手は、貸し倒れがなさそうな人、あるいは自社のサービスをたくさん利用してくれる人などだ。
優遇金利の適用を受けられる代表的な条件は、「頭金を一定額以上いれている」「給与振込口座を、ローンを組む金融機関の口座にする」「ローンを組む金融機関の口座を公共料金や保険料や税金などの引き落としの口座にする」「ホームバンキング、ネットバンキングの利用者」などが代表例だ。また、金融機関と同じグループ企業の社員、提携ローン(金融機関と不動産会社など特定の企業同士が組んだローン)、特定の日までに申し込めば優遇金利が適用されるキャンペーン金利などもある。
基準金利から優遇金利を引いた金利が”適用金利”
基準金利から優遇金利を引いた金利を適用金利という。ローンで支払うのは適用金利による利息だ。たとえば、基準金利が年利2.8%で、優遇金利が年利マイナス1.8%ならば、適用金利は、2.8-1.8=1.0で、年利1.0%ということになる。
「ただ、優遇金利に飛びつくのは禁物。たとえば、グループ会社だから特別の優遇金利が適用されると思いきや、他の条件の人と適用金利は変わらないといったケースもあるようです。また、他の金融機関と比較すると、そもそも金利が高いということもあるので、広く比較することが必要です」(八ツ井氏)
また、優遇ローンには「当初型」という、最初の数年だけは優遇幅が大きく、それ以降は優遇幅が小さくなるものと、借入期間中、固定金利だろうが、変動金利だろうがずっとその優遇金利が適用される「全期間型」のものがある。今は給料が少なくても将来収入増が見込めそうなら、最初は支払い負担が少ない「当初型」を選択するのも手だろう。いずれにしても自分のライフスタイルや適用条件をチェックして、最も有利な優遇金利を受けられる組み合わせを考えたい。
ただ、返済が滞ったり、優遇金利を受けた時の条件と変わったりした場合には、優遇金利が取り消されることもあるので注意しておきたい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら