5.元利均等払いと元金均等払いの違い
もうひとつローンの返済方法で、引っ掛かるワードは「元利均等払い」か「元金均等払い」という選択肢だ。
「元利均等払いの元利とは、元金(借りたおカネ)と利息を均等に返済していく返済方法のことです」(八ツ井氏)
たとえば、3000万円を35年、2%の固定金利で借りたとしよう。金利が全期間固定で、かつ元利均等返済なら、返済額は毎月9万9379円と返済期間中は一定なので返済計画が立てやすい。しかし、借り入れ当初の中身をみると、9万9379円のうち、元金は4万9379円。半分以上の5万円が利息となる。前述したように利子は複利なので、元金が減れば利息の占める割合も減っていくのだが、最初のうちは利子の支払い分が多くなるので、なかなか元金が減らない。
それに対して元金均等返済は、その名のとおり、元金を均等に返していく返済方法だ。3000万円を元利均等と同様の条件で借りた場合、毎月元金は7万1429円ずつ返済することになる。それに利息が1回目は元利均等と同額の5万円、2回目は4万9881円と加わるので、当初の返済額は12万円以上になる。
「元金均等返済は元金が早く減るので、まったく同じ条件で借り入れた場合に総支払額を比較すると、元利均等返済よりも約120万円安くなります。ただし最初のうちの支払い額は高くなるのがネック。それだけの返済力があれば、元利均等返済を選びつつ、繰り上げ返済で借入期間を短縮するのも一案です」(八ツ井氏)
元金均等返済が利用できない金融機関もある
なお、変動金利で元金均等返済を行う場合、5年ルールや125%ルールは適用されない(利払い額がそのまま上がっていく)。さらに、元金均等返済が利用できない金融機関もあるので事前に確認しておいたほうがいいだろう。
6.繰り上げ返済とは
余裕資金が生じた場合は、数カ月分を余分に返済する「繰り上げ返済」という手もある。繰り上げ返済の場合は、すべて元本の返済に充てられるため、将来の利払いを減らす節約効果がある。なお繰り上げ返済には、支払い期間を短縮する「期間短縮型」か、月々の支払いを軽減する「返済額軽減型」の2つから選ぶことができる。
ただ、繰り上げ返済には、一定額以上などの制限が設定されていたり、手数料が発生したりする場合もある。最近は、Web経由の手続きであれば、手数料不要のケースが多くなっている。いずれにせよ、条件について確認しておいたほうがいい。
7.借り入れ先を変更する「借り換え」
最後に、「借り換え」を紹介しよう。借り換えとは、借入先の金融機関を変えること。たとえば金利が高いとき固定金利でローンを組んだが、その後、金利が低くなり、金利が低い別の金融機関のローンに借り換えするといった具合だ(同じ金融機関内での借り換えは基本的にできない)。金融機関によって、適用金利も異なるため、より利息が低い金融機関を探して、借り換えをする人も少なくない。ただ、借り換えには、手数料や登記費用などの諸経費が発生するため、利払いが低くなっても、総額では負担が多くなることもある。借り換えの前にはそうした諸経費を含めて、どちらがトクになるか計算したほうがいいだろう。
住宅ローンは金融機関によって、金利も異なるし、優遇金利や手数料などの諸経費も異なってくる。逆にいえば、ちょっとした工夫や選択の仕方の違いでトクをしたり、損をしたりする。話が複雑だからこそ、ローン談義に花が咲くわけだ。まだ住宅ローンには縁遠い若手社員も、先輩たちの話に積極的に耳を傾けてみるのはどうだろうか。ちょっとした将来のシミュレーションを楽しめるかもしれない。
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