ビタミンB1が極端に不足した結果、引き起こる病気としては、心不全による脚のむくみや、末梢神経障害による脚のしびれなどが生じる「脚気(かっけ)」が有名。さらには、単なる記憶力の低下のみならず、過去の記憶が思い出せない健忘症のような脳の機能障害も引き起こす。ビタミンB1不足に陥っているのに、それを含まないサプリを摂取しても、当然のことながら、症状は改善するどころか悪化するばかり。
サプリは薬じゃない
食生活が乱れていると、体内では必要な栄養素が不足する。しかし、すぐに症状に結び付くことはなく、詳細な血液検査でも受けないかぎり、何が足りていないのかはわかりづらい。とりあえずビタミン類をたくさん含んでいるようなサプリを飲んでみても、なんだか体調はイマイチということはあるだろう。「やっぱり、何か病気かな?」と医療機関を受診すると、「単なる疲労ですね。栄養バランスのよい食事と、十分な睡眠をとってみてください」と医師から言われてしまうことも。サプリで効果がないのに、栄養バランスのよい食事だけで効果は期待できるのか。
「一般的に『サプリ』と呼ばれているものは、薬ではなく食品の分類に入ります。健康をサポートするのには役立ちますが、高い効能効果を期待するのは間違いです。つまり、基礎となる栄養バランスのよい食事を取ることができないときに、仕方なく補うためのものがサプリといえます」(西﨑副院長)。
サプリは錠剤やカプセルで、一見、薬のように見えるけれども、一般の食品と同じ扱い。大げさな効能効果を表記すれば、薬事法違反となる。「飲んだら元気になった」というのは、使用者の経験則によるところが大きい。
一方、「虫歯の原因になりにくい食品」や「体脂肪が体につきにくい食品」などと表記されている「特定保健用食品」もある。どのサプリでも表記できるわけではなく、人間での試験によって有効性と安全性が確認されたうえで、厚労省の承認を受けなければならない。また、栄養素の機能を表記できるものとしては、「栄養機能食品」もある。2001年にできた制度によって、12種類のビタミンと5種類のミネラルのいずれかが一定量含まれることで、厚労省の承認を受けなくても、栄養機能食品として発売できる。ただし、「本品は多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません」との表記も義務づけられている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら