――継続性が大事になる?
ドイツやイタリアのように大統領が元首といっても、長老政治家がなるから党派性はぬぐいきれず、公正中立の存在になるのは難しい。なかなか決まらないこともある。国王の場合は代々、引き継ぐ。継続性、連続性、安定性がことさら意識され、それを体現する存在として重宝されてもいる。
これからの「君主制」
――英王室の転機はダイアナ事件ですか。
その後、力を入れたのがネットでの情報公開。毎日のように更新して、公務の大変さが国民の間に浸透し、信頼を回復していった。ほかの欧州の王家も盛んに情宣を手掛ける。昨年4月スペインのフェリペ6世が来日した時に、私自身舌を巻いた。迎賓館での儀仗兵閲兵や宮中晩餐会での様子をユーチューブに即刻アップしていた。
――英国では生前退位はない?
規定はなく、たぶん慣例としてない。1760年から1820年に在位したジョージ3世時代の晩年に摂政を置いたことぐらい。現女王も来月で92歳、何が起こってもおかしくないが、女王陛下のままで公務をチャールズ皇太子に引き継ぐことになるだろう。
――議会政治、政党政治の場合、公正中立は難しいのでは。
20世紀、ほとんどの国、特に世界大戦で負けた側では君主制が潰れた。だが日本は唯一、負けたのに君主制が潰れなかった希有な存在。日本の象徴天皇制はでき上がってから70年余。70年余もという言い方もできるが、考え直すには時間が必要だ。
――考え直す?
近現代は、明治維新から数えて150年。戦後の象徴天皇制はその半分近くになり、定着してきたものの公務を担える皇族の数は知れている。女性天皇を視野に入れる必要があるのではないか。
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