「天皇の生前退位」知っておきたい基本の基本 「なるほど、そういうことか!」Q&Aで解説
「天皇陛下が生前に退位される意向を示されている」との報道が流れ、にわかに「天皇の生前退位」についての関心が高まっている。
現在、皇室典範では天皇の退位は想定されておらず、実質的には退位できないことになっているが、そもそも長い日本の歴史の中では、天皇が途中で退位することは一般的だった。
かつて日本では、どう「生前退位」が行われてきたのか? なぜ、いまはできないのか? その答えは「日本史」を知ることで見えてくる。日本史を知ることは、「ニュースを深く、自分の頭で理解できる武器」になる。
作家の佐藤優氏が「座右の書」として外交官時代、肌身離さず持ち歩いていた「伝説の学習参考書」が、全面改訂を経て40年ぶりに『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編』『いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編』として生まれ変わり、現在、累計12万部を超えるベストセラーになっている。
本記事では、同書の監修を担当し、東邦大学付属東邦中高等学校で長年教鞭をとってきた歴史家の山岸良二氏が、「日本史から見た天皇の生前退位」について解説する。
世界には生前退位の例も多い
「天皇陛下が生前に退位する意向を持たれている」との報道を受け、「天皇の生前退位」について、いま世の中の関心が高まっています。
そもそもの問題は、現在の皇室典範に「生前に天皇が退位する」規定がないこと。制度の改正なども含め、これから議論が活発になることでしょう。
それにしても、なぜ天皇は退位できないのでしょうか?
世界に目を向けると、海外の王室では、国王退位のニュースは珍しいことではありません。2013年にはベルギーの「アルベール2世国王」やオランダの「ベアトリックス女王」が、2014年にはスペインの「カルロス1世国王」が生前に退位しています。
では、なぜ日本の天皇は退位できないのか?
現在の天皇陛下は第125代。実は歴史を振り返ると、これまでの天皇の中に、生前に退位した天皇はたくさんいました。日本だけが特別というわけではなかったのです。
今回も、「天皇の退位」についてよく聞かれる質問に答える形で解説していきましょう。
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