あの「聖徳太子」が教科書から姿を消すワケ ここまでわかった!「日本史」の最新常識

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だれもが知っている「聖徳太子」、そろそろ学校教科書から消えるそうです。その真相とは?(写真:AISA/アフロ)
かつて「伝説の学習参考書」と呼ばれた名著をご存じだろうか。1973年に初版が発行され、多くの受験生のバイブルとして版を重ね続けてきた『大学への日本史』である。
作家の佐藤優氏も、外交官時代、「座右の書」として肌身離さず持ち歩き、何度も読み返してきた。その学習参考書が今回、装いも新たに『いっきに学び直す日本史 古代・中世・近世 教養編』、『いっきに学び直す日本史 近代・現代 実用編』として生まれ変わった。
特長は、リニューアル復刊にあたって、監修者が全編チェックして「古い学説」は改訂し、最新の研究成果によって以前の内容にはなかった「新たな歴史の常識」も数多く盛り込まれ、「いま使える内容」になっていること。
本連載では、同書の監修を担当した東邦大学付属東邦中高等学校の山岸良二氏が、そんな「最新の日本史」を紹介していく。

本当の聖徳太子は何をした人物?

佐藤優氏が30年間、たえず読み返してきた「座右の書」であり「最高の基本書」。「伝説の学習参考書」と呼ばれる『大学への日本史』が読みやすくなって、しかも最新情報で新登場!

誰もがその名を知る、日本古代史最大級の偉人「聖徳太子」。

かつて旧1万円札の代名詞でもあり、「一度に10人の話を同時に聞き分ける」など、その生涯における超人的エピソードは、1400年の時を経てなお今日に語り継がれています。

もちろん、「憲法十七条」や「冠位十二階」「遣隋使の派遣」など、彼の成し遂げた偉業の数々は誰もが教科書で習った覚えがあるはずです。

ところが近年、「聖徳太子が、じつは存在しなかった」という、にわかに信じられない学説が唱えられ、従来の教科書表記にも影響を及ぼすほどに拡大しています。教科書を見ても、いままでは「聖徳太子」と書かれていたのが、最近の教科書では「厩戸王(聖徳太子)」(山川出版社の『詳説日本史B』)とカッコつきの表記に変わってきています。

いったい「聖徳太子」はいたのか、いなかったのか? よく聞かれる10の質問に答える形で解説しましょう。

Q1. ズバリお聞きします。聖徳太子はいたのですか?

いました。でも、その前にひとつ確認しておきましょう。「聖徳太子」と私たちが呼んでいるこの名前は、彼の本名ではありません。これは彼の功績を称える人々が後世になり彼に贈った名前で、贈られた人物の名は「厩戸王(うまやとおう)」。この「厩戸王」は実在の人物です。よって、「いた」となります。

Q2. 「聖徳太子はいなかった」はウソだったのですね。

ところが、そうとも言えない事情があります。「聖徳太子はいなかった?」は、ここからが本題です。

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