(第16回)【2010年新卒採用動向】売り手市場の終焉・個へのフォーカスの時代

(第16回)【2010年新卒採用動向】売り手市場の終焉・個へのフォーカスの時代

福井信英

 2009年卒の大学生を対象とした採用活動は、バブル期以来と言われる、学生の「売り手市場」で終了した。
 10月1日には、2010年卒の学生を対象に、リクナビ・マイナビといった求人広告媒体が一斉オープンしたが、2010年卒の新卒採用市場はどうなるのか。

 正確な結果は新卒採用活動の全体像が見え始める来年の4~5月頃の大規模調査を待つ必要があるが、採用活動の現場に身を置いているものの直感としては、「就職環境の悪化」「売り手市場の終焉」が2010年卒の新卒採用を表すキーワードになるのではないかと感じている。

 ここに、いくつか私が知っている事実を並べてみる。
1)サブプライムローン問題に始まる金融不安から、外資系金融機関及び新興不動産企業を中心に採用縮小・凍結の動きが5月以降急激にめだつようになった。
2)団塊世代の退職に伴う一時的な雇用ギャップが、ここ数年の採用拡大によってほぼ調整され、企業の新卒採用数が落ち着きを見せている。
3)2~3年前の採用活動で数百人~千人単位で新卒学生を採用し、求人倍率押し上げの中心となっていた新興企業のいくつかが、廃業に追いやられたり、事業活動・就職活動の縮小を行っている。
4)中小規模の専門商社・メーカーなど、景気による影響を受けやすい業界で、景気の先行き不安を見越して、採用人数を過去2~3年と比較して縮小する企業が増えている。
以上は採用活動を行う企業で発生している現象だ。1~3は直接的な原因で採用人数が減少している例だが、これから採用活動の検討・最終意志決定をする企業には、4のような企業が増えてくることだろう。

 また、1~4の結果として、求人広告媒体を扱っている代理店のうち、販売状況が予定を下回る会社が増えてきているようだ。取扱高が多かった代理店に関しては、業績に深刻なダメージを受けているところも多いと聞く。

 以上のような事実から、私は2010年卒の新卒採用のキーワードの一つが「売り手市場の終焉」になるのではないかと考えた訳だが、個人的には「個へのフォーカスの時代」がキーワードになって欲しいと考えている。

キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 不安な時代、不機嫌な人々
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
人材戦略から儲けのからくり<br>まで コンサル全解明

人材の争奪戦が過熱し、年収水準もうなぎ登りに。デジタル化を背景にコンサルティング業界は空前の活況を呈しています。本特集ではコンサル業界の動向やビジネスモデルを徹底解説。コンサル会社を賢く選び、上手に活用していくノウハウを紹介します。

東洋経済education×ICT