「他人を味方に変える」3つのアプローチ方法 面接やプレゼンにも効果的な緊張のほぐし方

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その1 挨拶

他人を味方に変えるというと、大げさなようですが、日常のちょっとした行動から変えていくことが可能です。

たとえば「明るく挨拶をする」ということを、いつもよりも気をつけてみる。

「え? それだけ?」と言ってしまいそうになるぐらい単純ですが、これをやっている人とやっていない人では、他者に対する無意識レベルの緊張度が、ずいぶん違ってくる。そういう意味では、相手を自分の味方に変えていく、なかなか有効な方法なのです。

朝、同僚や友人に「おはよう!」と明るく挨拶をすることだけを心がける。それを一か月も続けていれば、だんだんと周囲の人とのコミュニケーションが、スムーズになっていくことを実感できるでしょう。

その2 分かち合う

ある程度、周囲の人が自分の味方に変わってきたと感じられたら、次は「分かち合う」ということにチャレンジしてみてください。分かち合うと言っても、大げさなことをする必要はありません。たとえば頂き物のお菓子があったら、その場にいる人で分け合うようにする。

「良かったら一緒に食べない?」と気楽に口にできるようになると、対人関係のストレスが大きく軽減されるでしょう。

分かち合うというのは、もちろん「物」に限りません。コンビニのレジに、ほとんど同じタイミングで並んでしまったときに「どうぞ」と譲ることも、「分かち合う」ということです。

あるいは、混んだバスに乗っていて、目の前の席が空いたとき、何も考えずに「お、空いた。ラッキー!」と座らず、「座りたそうな人や、辛そうな人はいないかな」と周囲をうかがってみる。これも、「分かち合う」ということの一つです。

ほんの少しだけ頑張るのがいい

これは、簡単に言えば「少し背伸びして、周囲に貢献する」ということですね。この「少し背伸びする」というのって、生きていくうえで大事なことなんです。めちゃくちゃにがんばりすぎると、すぐに燃え尽きてしまいますから、ほんの少しだけ、がんばるのがいいんです。

朝、会社に行ったら同僚がどんよりとした顔をしていたとします。そういうときに、自分のコーヒーを淹れるとき、あえて二杯淹れる。しかも「淹れてやったぞ」というのではなく、「ついでに淹れたんだけど、良かったらどうぞ」とさりげなく差し出す。

あるいは、挨拶するときの声のトーンを少しだけ明るく、さわやかにする、というのも、ちょっとした背伸びと言えるでしょう。

その3 他人に貢献し、そのことをすぐに忘れる

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こうした「他人に馴染む」努力をするときの注意点は、「この人にこれをしてあげた」と恩着せがましい気持ちにならないよう、何かをやったら、すぐに忘れる、ということです。

「やってあげた」と執着していると、人はどうしても相手からの返礼を求めてしまいます。でも、そのことに執着しているうちには、相手と「仲間」になることができないんです。

他人と何かを分かち合い、次の瞬間にはそのこと自体を忘れる。これができるようになってくると、対人関係にそれほどエネルギーを割かなくても、群れの中で生きていくことが、ずいぶん楽しく、過ごしやすくなってくるはずです。

名越 康文 精神科医

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なこし やすふみ / Yasufumi Nakoshi

1960年、奈良県生まれ。精神科医。専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、99年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。
著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSコミュニケーションズ、2010)、『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。
夜間飛行よりメールマガジン「生きるための対話」刊行中。オフィシャルウェブサイトはこちら。twitterはこちら

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