中国製「がん治療薬」の無視できない有望性

米国の承認まであと一歩という新薬も

上海にあるI-Mabバイオファーマのラボ。中国では積極的にがんの新薬開発が進んでいる(Yuyang Liu/The New York Times)

その新薬はがんの転移を食い止め、別の新薬は血液のがんを治療し、もうひとつの新薬は体の免疫システムを使って腫瘍を根絶させるという。

この3つの新薬はすべて治験で有望な結果を出しており、米国で承認されるまであと一歩というところまで迫っている。そしてこれらの新薬にはほかにも共通点がある。中国で開発されたことだ。

世界大手に並ぶのも時間の問題

中国の製薬業界は長年、欧米の製品を模倣することに主眼が置かれていた。新薬の承認を得るには時間がかかり、研究開発に莫大な資金を注ぐのはリスキーだと考えた企業は、より安全な収入源を選択してきた。

中国は今、世界の製薬業界における存在感を高めている。何百万という国民ががんや糖尿病を患い、政府は医薬品の開発を国家の優先課題にしている。

政府高官は新薬承認のスピードを速め、国外に渡った業界の専門家を呼び戻すと明言。当局は新薬の研究開発に土地や助成金、税の優遇措置を与え、投資もしている。

3つの新薬は米国の厳しい規制の壁を乗り越えなければならないが、もしそれができれば、中国の新薬の開発能力が向上していることを証明できる。それはこの国の経済がより価値の高い、複雑した産業への移行を進めていることの表れでもある。

中国の医薬品開発は、業界全体の中ではまだ初期段階と言える。しかし、この国の製薬会社がファイザーやアストラゼネカといった大手と肩を並べるようになるのも時間の問題だという専門家もいる。

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