中国製「がん治療薬」の無視できない有望性 米国の承認まであと一歩という新薬も
「中国企業が実際にそうなるのかという問題ではない」と、ヘルスケア関連株に投資するオービメッド・アジアのシニア・マネジング・ディレクター、ジョナサン・ワンは言う。「彼らはそこへ向かっている」
現時点では、品質の高い医薬品を得ることは中国では簡単なことではない。国民の多くは法制度が本土とは異なる香港やマカオから医薬品を購入している。オンライン上ではインドからの医薬品の密輸に関する議論が活発に行われている。
材料を購入して自家製の薬を作る人もいれば、裕福な人は医薬品を求めて米国に渡る。
研究所には350人以上の研究者が所属
国内の医薬品不足の解決に取り組む企業は増えている。香港の大富豪、李嘉誠が後ろ盾となっている和黄中国医薬科技(ハチソン・チャイナ・メディテック=チャイメド)は、2000年に中国の伝統的な漢方薬の開発を、2005年にはがんの治療薬の開発を始めている。
上海にあるチャイメドの主要な研究室には350人以上の研究者が所属し、そのうちの半数以上が新薬開発に取り組んでいる。
チャイメドは昨年10月、アストラゼネカと共同で開発した「Savolitinib」の治験の第2段階(フェーズ2)で、患者の60%から肯定的な結果が得られたと発表した。これまでに類のないこの新薬は、肺がんや腎臓がん、胃がん、大腸がんの治療に使われ、がんの転移を食い止めるアストラゼネカの別の医薬品と共に使用されることが多い。
チャイメドは現在、さらなるデータの収集を行っているが、もし今後の治験でも前向きな結果が得られれば、画期的な治療薬として米食品医薬品局(FDA)に承認申請するだろう。