「居抜き物件取引サイト」という新しい金脈 テンポイノベーション社長に聞く
村上:なるほど、大規模物件とはノウハウは違いますし、資本力にものを言わせるだけではうまくいかないということですね。
原:そのとおりです。
村上:物件を借りて転貸するという御社のビジネスの場合、借りたい人がたくさん存在している環境下においては確かにリカーリング(繰延収益)が発生しやすいですね。しかし、マーケットがクラッシュするなどして新規店舗の出店が滞った場合には、なかなか転貸先を見つけられず、ある種の逆ザヤが発生するというリスクが生じるのではないでしょうか?
原:理屈のうえではありうる話ですが、現実にはありえません。なぜなら、借り手がいなければ賃貸契約を解約すればいいだけのことだからです。しかも、私たちが貸し出す際の契約期間や保証金額などの条件面は、そういった事態をあらかじめ想定した設定になっています。
村上:なるほど期間などで逆ザヤリスクをコントロールされているのですね。事業自体はマクロ要因の影響を受けやすいでしょうから、このあたりの財務的なリスクコントロールがうまくされているのは、拡大戦略を推進するうえで非常に大きいですね。
原:そのとおりですね(笑)
自社開発を手掛けることも視野に入れている
村上:お話を伺っていて、御社のビジネスは成長の余地が非常に大きいということを痛感しました。さらに先を展望すれば、自社で土地を取得して開発まで手掛けることも視野に入れていらっしゃいます。事業ノウハウやリスクが大きく異なりますが、これはどこまで本気なのですか?
原:私個人としては、めちゃくちゃ本気ですよ。
村上:しかし、そうなるとせっかくバランスシートをうまく活用し、効率的な事業モデルを組んでこられたのに、一気に所謂不動産事業者のように、バランシートのリスクを大きく抱えるアセットヘビーな経営に変わっていってしまわないでしょうか?
原:実際に自社開発に取り組んだとしても、すぐに転売することが大前提です。建物所有者になるつもりはありません。なおかつ、私たちはその物件を賃貸して転貸するので、ずっと収益を得ることが可能です。
村上:そういった自社開発まで手掛けるようになれば、御社の評判がさらに上がって、プッシュ型からプル型の営業にシフトしていく可能性も出てきそうですね。ただ、そのステージに向かううえでは、今まで以上に幅広い人材の採用とその教育がボトルネックとなってきませんか?
原:人材については、新卒から育てていくことが前提となっていきますね。やはり、社内のみんなが同じ志でビジネスを進めていくことが肝心だと思います。計画どおりに事が運べば5年後には100名体制も整っているはすですし、年間1000件という受注目標も視界に入ってくるでしょう。
村上:着実にフローが生じるビジネスですし、少なくとも資金調達という側面ではIPOの必要性がなかったようにも思われますが、その点はいかがでしょうか?
原:確かにご指摘のとおりですが、私たちとしては当社の知名度をもっと高めたかった。そして「私たちはこんなにすごいビジネスをやっています」ということを、より多くの人々に伝えたいのです。個人的にも、当社のビジネスのことを説明して理解していただくことが楽しくてたまりません。
村上:本日はありがとうございました。今日お話しさせて頂いただけでも、原社長がご自身のビジョンを伝えることに情熱をお持ちだということが伝わってきました。また、入社当初から経営者マインドで、かつ長期的な計画をもって行動されているというお話、大変感銘を受けました。原社長の計画が実現するのを楽しみにしております。
(ライター:大西洋平)
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