「居抜き物件取引サイト」という新しい金脈 テンポイノベーション社長に聞く
村上:レインズインターナショナルは御社を設立した直後にレックス・ホールディングスに社名変更し、やがてMBO(経営陣による買収)に伴って非上場しましたね。2011年には同じく外食のコロワイドの傘下に入って、再びレインズインターナショナルに社名を戻しています。当時の同社を取り巻く環境変化はいろいろと大変だったように記憶しております。
原:生々しい話ばかりで、とても記事に書けるような話ではありませんよ(笑)。私はレインズ出身ではなく、テンポリノベーションの設立直後の2005年11月に転職してきた人間です。
村上:では、なぜテンポリノベーションに転職したのですか?
原:テンポリノベーションは設立初年度から35名程度の社員でレインズ傘下の「牛角」の内装を手がけ、35億円の売り上げを稼いでいました。当時の経営者は牛角の内装だけに依存していることに少なからず危機感を抱き、グループ外の案件を開拓し始めていたのですが、外食出身の社員ばかりで営業のノウハウがありませんでした。そこで、幹部候補の営業担当者を募集し、たまたまその求人広告を目にした私が採用された次第です。「幹部候補」というのが私が目を付けたポイントでした。
村上:その頃から、現在のビジネスモデルに近い形だったのでしょうか。
原:いえいえ。まだビジネスモデルは確立されておらず、当初は資産リースの形態でした。店舗物件はスケルトン(内装設備がない状態)で借りてスケルトンに戻して返すというのが常識の時代だったので、当社が飲食店の内装費を立て替え、家賃とは別にリース料を頂戴するという出店支援ビジネスです。年間220件程度の契約獲得を計画していたのですが、資金を立て替えるので1件当たり最低でも1000万円前後の持ち出しが発生します。つまり、22億円の資金が手元に必要となるわけですが、実はそのアテなんてなかった。それに、資産リースは金融系のビジネスですから、シロウトが手を出してそう簡単にうまくいくものではありません。当時のレックス・ホールディングスは威勢がよかったものの、勢いだけで突っ走って、細かい戦略が練られていなかったのです。
村上:店舗数や業態の拡大も急ピッチでしたからね。
原:その矢先にレックス・ホールディングス本体の経営が傾き始め、財務体質は悪化の一途をたどりました。そこで、MBO(経営陣による買収)によって立て直しを図ろうとしたわけですが、そのタイミングでファンドの資金が入り、不採算部門の整理(売却)を求められました。私としては、まさに神風が吹いたと思いましたね。
むしろ、売却されたことが好都合だった!?
村上:つまり、レックス・ホールディングスから切り離されたほうがよかったと?
原:レックス・ホールディングスの傘下に入っているかぎり、私たちのビジネスはなかなか発展していかないと思っていたからです。なぜなら、たとえば牛角と競合する他社の焼き肉店には営業を展開できないといった具合に、あれやこれやと制約が多すぎたからです。しかも、レックス・ホールディングスにとってはメインのビジネスではないだけに、なかなか決裁が下りなくてお金も使えない。
村上:大手企業の傘下ならではの典型的な悩みですね。