「居抜き物件取引サイト」という新しい金脈 テンポイノベーション社長に聞く
原:実際に街の不動産屋を回ってみればわかることですが、「○○屋をやりたいから居抜きの物件を紹介してほしい」と頼んで1年間にわたって通い続けたとしても、まず見つかるものではありません。しかし、当社なら毎月20〜30件のペースで契約していて、つねに新規の情報が豊富に入ってくるのです。
着実に利益が積み上がるストック型の収益構造
村上:ストック型の収益構造で売り上げと経常利益も順調に拡大しているようですが、その一方で売上の75%程度を物件調達コストが占めていますね。どういったかたちでマージンコントロールを行っているのでしょうか?
原:住宅と比べて店舗物件は相場の形成がブラックボックス化していて、目の前で提示されている価格が適正かどうかを判断しづらいのが実情です。しかし、私たちは13年間、このビジネスにひたすら取り組んできており、5万件、6万件といった規模のデータベースを蓄積しています。だからこそ、物件調達時に適正価格を見極めることができます。これが結果として物件調達コストのマージンを一定に保つ経営につながっています。これがわれわれ独自の強みですね。店舗の転貸しかやっていない会社は、日本中を見渡しても当社しかありませんから。
村上:希望の物件が見つかりやすく、価格の適正性が担保されるなら、借りる側は自然と御社を選ぶようになり、貸す側も御社に任せるのが一番だと考えるような流れになりそうですね。
原:まだまだ当社は無名で、そのような流れにまでは至っていません。当社の契約物件数1029件に対し、ターゲットとしている一都三県の飲食店舗数は約16万件に達しているとの調査データもあります。つまり、私たちはまだ0.6%しか開拓していないわけです。
村上:0.6%をもっと拡大させていくためには、何が求められているとお考えですか?
原:たかだか30人程度で展開しているので、リーチが足りていません。せめて100人規模までは営業体制を拡大させて月々50件、年間で600件といったペースで新規契約を獲得していく必要があります。
村上:「新株式並びに株式売出届出目論見書」では大手不動産会社の参入をリスクの1つに挙げていましたが、実際に競合することになった場合はどの程度の脅威を感じますか?
原:本音を言えば、まったく脅威には感じませんね。たとえば、飲食店がひしめくモンスタータウンの東京新橋でどこの不動産屋が最も豊富に情報を持っているのかについて、しっかりと把握している大手は存在するでしょうか? このビジネスには、相応の仕入れノウハウが求められるのです。